当初は雨上がり決死隊が中心メンバーで挙がっていた
宮迫博之:『とぶくすり』かな、ナイナイが選ばれて。
加藤浩次:はい、はい。
宮迫博之:入った時の話。数年後かな、岡村に聞いたことがあって。その時、立場は大逆転してしまって。アイツらがパッと売れてしまってさ。
加藤浩次:東京でバーン売れて。
宮迫博之:そう、そう。養成所の時、俺の実家の応接間で寝泊まりしてたような奴が、信じられへん抜かれ方したやんか。
加藤浩次:うん。
宮迫博之:一番抜かれるわけないと思ってた奴やったから。
加藤浩次:うん。
宮迫博之:で、俺のためのフォローなんかな。嘘か本当か分からへんけど、一緒に飲んだ時に、「片岡飛鳥さんに聞いたんですけど。雨上がりかナイナイかどっちか悩んでたんですって」と。
加藤浩次:え?そうなんだ、知らない。
宮迫博之:「最終的に僕ら選ばれて、なんで雨上がりじゃなかったんですか?」って訊いた時に、「雨上がり決死隊はもう完成されている」と。
加藤浩次:おお。
宮迫博之:「お前たちは粗削りだから、今から作っていくという作業に向いている」っていうことだったんで、「凄い悩まれてたんですよ」って。俺、その時、全然仕事なかったからさ。
加藤浩次:うん、うん。
宮迫博之:気持ちのフォローのために言ってくれたかもしらんけど、さらに落ちたもんな。「そうやったんや」って。
加藤浩次:ふふ(笑)
宮迫博之:でも、その時、しばらく飲んでて、「でも良かったな。俺らやったら、『めちゃイケ』になってないぞ」と。
加藤浩次:うん。
宮迫博之:「恐らく、俺らがあそこに入ってたら、絶対『めちゃイケ』にまで昇華されてない」と。
加藤浩次:時系列で言ったら、天素がギャーって東京ではなったでしょ。その後、人気がちょっと…形が変わってって、その間にナインティナインが『とぶくすり』って話になったって、その時でしょ?
宮迫博之:そう、そう。
加藤浩次:結局、宮迫さんは東京にいたけど、大阪に帰ったっていう時でしょ?
宮迫博之:帰ってはない。
加藤浩次:帰る前?
宮迫博之:帰ってないけど。
加藤浩次:結局、帰らなかったんでしたっけ?
宮迫博之:その時にもう、ただただ落ちたってだけ。
岡村隆史:日テレさんでネタやってんのを、たまたまフジテレビの『めちゃイケ』総監督・片岡飛鳥が見て。名前も分からん、コンビ名も分からん。「岡本」とかいう、デコボココンビが出てた、と。
それを一回、『新しい波』という番組に、ちょっと出したいっていうことで、吉本に連絡がきたのがきっかけで。その当時の和泉さんですよ。和泉さんが「え?それ、ナインティナインですけど。それ、雨上がりの間違いちゃいますか?」って言うて。
「いやいや、雨上がりじゃなくて、デコボコのコンビです」って言うて。ほんで、「そうですか?」って言うて。ほんで、和泉さんに呼び出されて、「今度、フジテレビで番組出るかも分からへんから」って。
その時、まだ大阪から出てきてますから。で、ネタ見せやって思って。小道具も大阪からまた持ってって。代表的なガムのネタがあったから、ガムのフリップとか全部もってきて。大阪から持ってきて。
フジテレビ、昔の河田町ですよね。河田町、フジテレビに入るんかなって思ったら、フジテレビに入らんと、汚い路地の方にどんどん、どんどん行って。スタッフルームみたいなところ連れていかれて。「フジテレビ、ちゃうねや」って思って。
フジテレビに入ることが楽しみやって。『27時間テレビ』とか、たけしさんやさんまさんがロケやってる、そういうイメージやったから、フジテレビが。ところが、フジテレビの前に女性が立ってて。フジテレビ入るんかなって思ったら、「こっちです」って、中も入らんと、横の方のプレハブ小屋みたいな。フジテレビじゃないんですよ。
フジテレビの、ちょっと出たところのプレハブみたいなところに行ったら、パーデンネンの頭かぶるやつとか。『ごっつええ感じ』の着ぐるみやとかがワーッとあって。「うわぁ、すげぇ」って思って。そこで、ネタ見せすんのやろうなって思ってたら、普通にフジテレビの方が何人かいてはって。
「160ないよね?」って言われて。なんやねん、いきなり。「おはようございます」も何もなくて、いきなり指さされて、「160ないよね?」って。「ないですけど」「プロフィールに160って書いてあったから。ないよね?」「ないんです」みたいなところから始まって、「なんやこれ」って、変なギクシャクしたところから始まって。
ほんなら、もう一つエライさんなんかな。ポンポンッて肩叩かれて。「この番組は、フジテレビと仲良くしていけるかどうか見極める番組だから、まぁ頑張ってよ」って、肩パンパンッて叩かれて。
「なんやこれ、イヤなところ来てもうた!」って思って。それが最初(笑)そこからネタを作って、何十時間も一緒に…あの時、『新しい波』一回出たら、30分間、ナインティナインでネタやって、最後にちょっとトークあんのかな。30分間、全部もらえるわけやから。それでネタを固めて、そこで…ハマッたんやね(笑)
ようウケたんや、その時に。それきっかけに、『新しい波』でハマッて、『とぶくすり』という番組が始まって。それで、『殿様のフェロモン』とか、『シブヤ系うらりんご』やとか。で、『めちゃモテ』になり、『めちゃイケ』になりっていう歴史があるんですよ。
実は武田真治・雛形あきこがメインだった『めちゃモテ』
岡村隆史:武田君も、「『めちゃモテ』は、僕と雛形あきこさんの番組だった」と。
武田真治:そう。
岡村隆史:言うてますよね?
武田真治:そう。
岡村隆史:だけどそれは…それはそうなんですよね、ホンマのことを言うと(笑)
矢部浩之:合ってんねん。
武田真治:え?それは…
矢部浩之:パナソニックの一社提供でな。
岡村隆史:あれはごめんね。
武田真治:真実をお伝えしてもよろしいんですか?
矢部浩之:ああ、言ってるよ、多分。
武田真治:あ、そうですか。あの…最初、そうでしたよね?『めちゃモテ』の時。
矢部浩之:企画書って、そうやってん。
武田真治:はい。
岡村隆史:全面的にバーンって、武田君と雛形あきこさんがバーンとこう載ってて。お二人の番組でしたよね。
『とぶくすり』→『めちゃモテ』で降ろされた加藤浩次
佐久間宣行:そうだ。『めちゃモテ』になって、武田真治さんと雛形さんが入って…
加藤浩次:紗理奈もいて。
佐久間宣行:あ、紗理奈さんもいて。その時は…
加藤浩次:山本がバーテンダーだったの。
佐久間宣行:はい、はい。
加藤浩次:で、俺は出てなかったの。
佐久間宣行:そうですよね。
加藤浩次:うん。
佐久間宣行:そうなのよ。だから、俺の記憶では「あれ?加藤さん、外された?」っていうのが、高校生ぐらいの時に…
加藤浩次:うん、そうよ。
佐久間宣行:「え?加藤さん、外されてる?」って。
加藤浩次:だから、飛鳥さんと喋った覚えあるもん、俺。『めちゃモテ』始まるって時に、飛鳥さんに呼び出されて。「めちゃモテって番組をナインティナインで始めるんだけど」って。
佐久間宣行:はい。
加藤浩次:「紗理奈と武田真治と雛形とナインティナインで」って。「そこで山本だけバーテンダーとして出したいんだけど、加藤どう思う?」って言われて。
佐久間宣行:はい。
加藤浩次:その時、まだ俺は25とかでしょ。
佐久間宣行:はい、はい。
加藤浩次:「僕もお願いします!」って、今だったら言えるよ。
佐久間宣行:それは30代で加藤さんに「極楽好きでした」って言えないのと同じように。
加藤浩次:同じような感じかな。「あ、いっすよ。いいんじゃないですか」みたいな(笑)飛鳥さんによ(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)内心は凄いでしょうね(笑)
加藤浩次:内心、喉から手が出るぐらいその仕事欲しかったんだけど(笑)
佐久間宣行:そうですよね(笑)
加藤浩次:「俺もバーテンダーでお願いします!」って言いたかったんだけど、やっぱ言えなかったもんね。
佐久間宣行:ああ。
加藤浩次:あの当時、「ああ、いいんじゃないですか。いいっすよ、いいっすよ」って。「でもな、加藤」って飛鳥さんに言われて。「お前、山本一人だけ出てな。それでお前ら他にレギュラーあるわけでもないんだから。山本だけ先に仕事増えてくみたいなことになるかもしれないけど、いいのか?お前」って言われて。
佐久間宣行:はい。
加藤浩次:「いや、飛鳥さん。絶対そうなりませんから」って言った覚えあんのよ(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)
加藤浩次:イヤな若手だよなぁ(笑)ヤな若手だわ(笑)
『めちゃモテ』で「乱入」していた加藤浩次
佐久間宣行:どっから加藤さんは『めちゃモテ』に入ってったんですか?
加藤浩次:山本が、「来い、来い」って言ったの。
佐久間宣行:あ、とにかくスタジオに?
加藤浩次:スタジオに。山本が「見に来いよ」って言って。「いいよ、出てねぇのにこっ恥ずかしい」って。
佐久間宣行:ふふ(笑)はい、はい。
加藤浩次:「出させてくれオーラ出しまくってる若手、格好悪ぃじゃねぇか」って言ってたんだけど、「いいから来いって」って山本に言われて、行ったのね、スタジオに。
佐久間宣行:はい。
加藤浩次:そしたら飛鳥さんが来て、「加藤、お前ケンカやって帰る?」みたいなことを言って。
佐久間宣行:なるほど、なるほど。
加藤浩次:「え?」って言ったら、「いや、途中で出てこいよ、お前」って。で、出てって、「お前だけなに出てんだ!」みたいなケンカをそこでやって。
佐久間宣行:うん。
加藤浩次:なんか知らないけど、僕もバーテンの一人になる、みたいな。
佐久間宣行:ああ、なるほど。
加藤浩次:多分、飛鳥さんはね、その時、考えてたんだと思うよ。
佐久間宣行:考えてたでしょうし、ある程度見えてたんでしょうね。
加藤浩次:そう。一人ずつ入れてくっていうのを飛鳥さんは考えてたんだろうけど、一応、パナソニック枠っていうか、大きなスポンサーだったから、どこの馬の骨だか分からないような若手をドーンって入れるより、キラキラしたCMとかいっぱい出てる、俳優さんとか女優さんも入れて、後から加藤、よゐこ、光浦も合流させていくっていうのを、考えてたんだろうね。
佐久間宣行:考えてたのに、加藤さんが最初に説明したら、半分キレられるっていう(笑)
加藤浩次:そう(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)
加藤浩次:そうだよねぇ、申し訳なかったわ。若気の至りっていうのは本当にイヤなもんだわ。思い出したくないこといっぱいあるよ。
ナイナイ・よゐこが中心だった『とぶくすり』
加藤浩次:『とぶくすり』の最初の深夜番組のギャラが、5,000円だよ。30分の深夜番組のレギュラーで。
徳井健太:それでは食えないですよね。
徳井健太:厳しい。
加藤浩次:俺らなんか補欠みたいな感じだったから。『とぶくすり』が始まった時に。ナインティナインとよゐこの番組だったから。そこに俺らがお邪魔するって感じだったから。
遠藤章造:そうでしたね。観てたけど、そうやったなぁ。
加藤浩次:ギリギリだもん。
徳井健太:そこにオアシズさんっていうのは、いるんですか?
加藤浩次:光浦だけいて。
徳井健太:オアシズなのに?
加藤浩次:うん。
吉村崇:特殊だなぁ。
徳井健太:同期くらいですか?
有野晋哉:一緒くらいなんじゃない?でも、大学行きながらみたいな。
徳井健太:ああ、あそこ(当時の人力舎)も養成所じゃないから。
有野晋哉:学生やりながらやってたな。
片岡飛鳥が指示した「矢部は裏回し」というポジション
矢部浩之:でも、最初の段階で、片岡飛鳥さんに言われたんが、『とぶくすり 友の会』のスペシャルかな。
カジサック:はい。
矢部浩之:最初に、「これ今日、芸人が全部ボケるけど、全員面白くなかったら、矢部のせいね」って言われて。
カジサック:ええ?!怖っ。
矢部浩之:「全部のボケ、面白くしてね」って言われて。
カジサック:はい。
矢部浩之:「面白くなかったら、矢部のせいね」って。だから、「なんでやねん」って思いながら、その言葉ってずっと残ってんのよね。
カジサック:うん、うん。
矢部浩之:後々、意味分かってきて。
カジサック:はい。
矢部浩之:で、ある意味、半分俺、スタッフやと思うのね、テレビに出てる。
カジサック:へぇ。
矢部浩之:『めちゃイケ』スタッフは、演者に言わなくていいことを俺に言ってきてたから。
カジサック:はい、はい。
矢部浩之:裏側。
カジサック:裏側。裏回しって言いますか、状況は全部知っといて欲しい人。
矢部浩之:そう、そう。
カジサック:ああ。
矢部浩之:で、「矢部は裏回し」みたいな言葉できてんけど(笑)
カジサック:はい。
矢部浩之:「なんやねん、裏回しって」って。
カジサック:当時、若い時は分かってませんよね。
矢部浩之:「表で回させてくれ」と。
カジサック:裏ってなんやねん、と。
矢部浩之:うん。表で回したら、邪魔になんねん、俺が。
カジサック:ムズっ。
矢部浩之:邪魔やねん、あの番組。
カジサック:はい。
矢部浩之:岡村隆史がボケ司会で回ってる番組見せたいねん。
カジサック:でも、そういう企画が多かったですよね、実際ね。
矢部浩之:多かった。でも、ボケ司会やから、あんまり台本ちゃんと覚えられへんタイプやから(笑)いっぱい抜けんのよ。
カジサック:はい、はい。
矢部浩之:そこのフォローをしていくっていう。
『めちゃモテ』時代にスポンサーから嫌われていた矢部
武田真治:『めちゃモテ』はパナソニックの一社提供で。その提供元がなぜか矢部さんのことをあんまり好きじゃなかったっていうので(笑)
矢部浩之:そう、そう(笑)
武田真治:伝説に残ってるの、なんでなんですか?(笑)
矢部浩之:俺がパナソニックのえらいさんに、「矢部って子は、なんや人の頭ばっかり叩いて」って。
武田真治:ああ。そういうことだったんですね。
矢部浩之:で、1年で終わったっていう話に、落ち着いたの(笑)
武田真治:落ち着いたんですね。でも、違うんですよね。真相としては、最終的には『めちゃイケ』に昇格したんですよね?
矢部浩之:ああ、ありがたいことにね。
岡村隆史:そうね。そうやったけどね。