2024年1月15日放送のTBSラジオ系の番組『空気階段の踊り場』(毎週月 24:00-25:00)にて、お笑いコンビ・空気階段の水川かたまりが、「致死量のスベリ」を経験したピン単独ライブ『復讐』が「芸歴12年で一番の分岐点だった気がする」と思ったと告白していた。
水川かたまり:結論で言うと(ピン単独「復讐」を)やってよかったし、芸歴12年ですけど、なんか一番の分岐点だった気がするんですよ。
鈴木もぐら:このピン単独ライブがですか?
水川かたまり:このピン単独が、僕の中で。
鈴木もぐら:うん。キングオブコントよりも?
水川かたまり:全然、キングオブコントよりも。もちろん、色々ありましたよ、NSC入って、で、NSCの時にコンビを組んで、最初平井君っていう人と。
鈴木もぐら:そうだね。
水川かたまり:で、この人と頑張るんだって。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:でも、ここは解散して。「あ、コンビ解散することもあるんだ」って。で、空気階段結成して。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:で、もうずっとバイトとかやって、ラフターナイト優勝して、ラジオが始まってとか。
鈴木もぐら:そうね、かなり分岐点色々あるでしょ。
水川かたまり:初めて決勝行って、とか色々ありましたけど、一番分岐点な気がしたんですよ、僕の中で。
鈴木もぐら:「復讐」が?
水川かたまり:「復讐」が。
鈴木もぐら:それ、終わった後にそう思ったってことでしょ?
水川かたまり:終わった後に、そう思った。本当にね、ずっと毎週のようにラジオでも言ってましたけど、とにかくやりたくなかったんですよ。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:もうなんでこんなにやりたくないんだろうって。もう、イヤでイヤでしょうがなくて。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:ずっと本当、憂鬱で。肩甲骨のあたりがずっとイヤな痛さがあって。多分、これはもう心労から来る不調で。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:で、考えなきゃいけないっていう。もうチケットも売っちゃってるし。
鈴木もぐら:2ヶ月前から決まってるから(笑)
水川かたまり:で、こっち側で値段も決めてるんです。だけど、本当に気が乗らない、重い腰が上がんなくて。なんか時々、2日に1回ぐらい15分ぐらいちょっとやる気が出て、なんとかバッて書いてみて、みたいなのを溜めて。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:でも、基本ずっと本当に気乗りしないっていうのが、多分とにかくスベリたくない、と。
鈴木もぐら:はい、はい。
水川かたまり:最初、お笑い始めた時は、もうウケたいが…スベったこともないから。
鈴木もぐら:そうね。
水川かたまり:そういう気持ちでやるじゃん。で、段々スベることも出てきて。
鈴木もぐら:最初はもう、「ウケるだろう」でやるからね。
水川かたまり:そう。
鈴木もぐら:そこでスベって、「え?」みたいになって、全くウケなくて「どういうこと?」みたいな状況になって、とんでもないショック。あと、あの「舞台上に自分しかいない」みたいなあの孤独(笑)
水川かたまり:そう。
鈴木もぐら:自分だだけが敵、みたいな(笑)
水川かたまり:そう。でも、今まではコンビだったじゃん。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:言っても、スベるっつってもコンビでスベるから、その全責任、全てを抱えるってことはなかったんですけど、本当に一人でやって、スベるってなったら、あれを俺は全て背負うんだっていうので。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:やっぱそれが多分、もう芸歴12年とかの蓄積で超怖くて。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:とにかくウケたいよりスベリたくないで。
鈴木もぐら:最初やっちゃってたってことね?
水川かたまり:そう、そう。で、とにかく60分あるから、埋めなきゃみたいな。で、「多分これはスベらないだろう」みたいな、スベらないやつをなんとか集めて。
鈴木もぐら:はい、はい。
水川かたまり:で、なんとなく自分の中でこれは、「まぁまぁ大丈夫だろう、別にスベリはしないだろう」と思ってたもんも、スベるのよ。
鈴木もぐら:ああ、本番ね。
水川かたまり:本番で、やっぱり魂も乗ってないし、技術もやっぱ圧倒的にない わけよ。なんとなくピン芸人の人のネタとかもちょろちょろ見たし、今まで袖でピンの人のネタを見る機会なんていっぱいあったから、「なんとなく舞台に上がればできんじゃねぇかな」って思ってたんだけど、もう全然できないわけよ。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:全部違うというか。「ヤバイ、ヤバイ」って。もうスベらないと思ってたもので、スベってる。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:最後の最後、「やってみたいこと」って出して、ただ本当に「動きと顔と、最低限の発声だけでお笑いをやります」って言って。これは本当にやりたかったの。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:5分間ぐらい、本当にもう本当に「面白いな」っていう顔と(笑)
鈴木もぐら:いやいや(笑)『イロモネア』のサイレントみたいなこと?
水川かたまり:サイレントだけど、「パー」「ピー」とか。最低限な音は付け加えてるんだけど。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:それもめっちゃスベるわけよ、そこまでウケてないから。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:その時、本当に「芸人になろう」と思った時のこととか。日吉に住んでて、雪の降る日でしたよ、今日みたいに。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:雪の降る日に外出て、iPodシャッフルして、ブルーハーツの『未来は僕らの手の中』が流れてきて、「もう踏切りつけてNSC行こう」って思った日のこととか。
鈴木もぐら:はい。
水川かたまり:板橋本町のペローチェで、コンビ組んだ時のこととか、初めて出たABCお笑いグランプリで、1年目の時の予選で「初めてこれはウケたぞ」みたいな感覚の時とか。
鈴木もぐら:うん。
水川かたまり:舞台で「ピピッ」とかやってるときに、芸人の思い出が本当、走馬灯みたいに…
鈴木もぐら:それ、死んでたんじゃないか?芸人として(笑)スベリすぎ、致死量のスベリを食らったってこと?(笑)
水川かたまり:本当に死んでたのかもしれない。分かんない、全く記憶がなくて。なんか立ったまま死んでたかもしれなくて。ずっと熱っぽいまんまやって。で、終わった後に、「自分が作ったもんで、自分が考えたことで、自分がやることでウケたい」っていうところが一番大事だなっていうところをまず再確認できたというので。
鈴木もぐら: ああ、はいはい。
水川かたまり:やっぱり「スベリたくない」っていう保険を、まず第一に考えたら何にも楽しくないなっていう。これは、本当にやらないと気づかなかった、もしかしたらっていう。
鈴木もぐら:ふふ(笑)
水川かたまり:あと、なんか本当にね、人への感謝の気持ちみたいなのが凄い湧いてきて。
鈴木もぐら:ふふ(笑)
水川かたまり:あなたもですよ。あと、音響さんも、照明さんもで作家さんも、本当に永井さんも越崎さんもそうですし、もう人への感謝。奥さんもそうだし、家族、両親もそうだし。
鈴木もぐら:感謝できんの?奥さんとか家族に(笑)
水川かたまり:致死量のスベリを食らったら、感謝の気持ちになるよ。