2021年4月5日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』(毎週月 25:00-27:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、落語家時代に先代の三遊亭円楽が伊集院に激怒して「即刻クビにしろ」と言い放った時に師匠・楽太郎が庇ってくれたエピソードに改めて感動したと語っていた。
伊集院光:ニッポン放送の番組で、志らくさんと談春さんともう一人、立川一門のお弟子さん3人で、「立川ボーイズ」っていう番組出てて。
で、俺は「伊集院光」でその同じ番組に出てたんだけど。俺、その頃、落語家だってことを言えない、伊集院光って別キャラで出てるわけ。だけど、ここと面識があるわけ。で、そしたら一応、出る約束としては「伊集院」っていうことをイジらないってことで出たんだけど。
まぁそれは志らくさん、しかも今より若い志らくさんだからさ、きかん坊だからさ。しかもライバルだから、めちゃめちゃライバルでみんな同年代の人間なんて死ねばいいって全員思ってる頃だから。その中でちょいイジリしてきたの。
「落語の方は?」みたいなイジリをしてきて、「落語?それって食べられるんですか?」みたいな感じで、生放送で返したわけ。それで、軽く志らくさんも談春さんもキレかかったと俺は記憶してて。そのごちゃごちゃのままCMに入ってその番組は終わってったんだけど。
後に、もう1人さらに上の立川流のお弟子さんがいて、その話を聞いたんだろうね。そのニッポン放送で今出てきた伊集院光っていうのは本当は落語家なのに、落語家なことを隠してるひでぇ奴だっていう。
…そんなことがあって、立川一門のさらに上の人に、多分「腹立つ」って言ったんだと思うんだよ。当時、立川ボーイズっていうのも、ちょっとバラエティ展開をし始めてて。落語家なんだけど、バラエティに出てて。俺は俺でラジオがちょっと評判良くなってきてるところで、色んな面白い若者を集めよう、みたいな回にお互いゲストで出てて。
丁々発止やる中でそんな感じになってっから、腹も立ったんだと思うんだよね。それを兄弟子に言ったら、兄弟子が雑誌の連載に「こういう奴がいる」と。「伊集院っていう奴は、本当は落語家なことを隠してる」と。
それヒドイ文章でさぁ、「腹が立ったから推測で書くが」って書いてあって、「コイツは落語なんか好きじゃなくて、ただテレビやラジオに出れれば良かった奴に違いないんだ」みたいなことが書いてあって。
30年ぶりぐらいにそこのパズルが合ってくるんだけど。多分、その本を読んだんだと思うんだ。大師匠の(先代)円楽師匠が、どうも読んだらしくて。突然、『笑点』の楽屋に、人払いをして鞄持ちの弟子とマネージャーとウチの師匠だけっていう状態になって。「お前の弟子がどうやら勝手なことをしてるらしいじゃないか」っていう話から始まったらしいんだ。
で、最終的に大師匠は、「お前の弟子は落語を踏み台にしている」と。まぁ最初は「お前を踏み台にしているだけだ」と。「そのことをお前、分からないのか?即刻クビにしろ」みたいな話になって。
そしたら、ウチの師匠が「何でもやらせるっていう主義だから。やらないで分かる利口と、やんなきゃ分かんないバカがいるんで、師匠の僕が公認でやらせたいと思ってます」って言ったら、そこでその大師匠の円楽師匠っていうのは、すぐ笑うし、すぐ怒る人だから。その言い方が、「楽大はあなたの弟子じゃなくて、私の弟子です」っていうふうにどうも捉えたらしくって。
「私の教育方針があります」というようにどうもとってしまったらしくて、バチンっていっちゃって。まぁそういう、「お前が踏み台にされてるだけじゃないか。落語が、そして私も踏み台にされてるんだ!」ってなっちゃって。
それで、ウチの師匠は「全然関係ない仕事ならまだしも、よしんば踏み台であったとしても、落語を勉強して、ラジオってお喋りの世界で活きるんなら、それはそれで僕はいいと思ってます」って言った後に、円楽師匠がもう一キレし始めちゃったから、改めて話に行きますっていうことで終わったんだけど。
まぁ、俺もそこで引きどころが分かってるからっていう。あと、(先代の円楽師匠は)凄くカラッとした人なんで、何日かすると忘れちゃう人だから大丈夫っていう。言うことは言う、テンションMAXまで怒られるけど、そこで引くっていうことをやって、「まぁあの日は終わったんだけどな」っていう話になり。
もうちょっとこっちからすると…俺からすると、やっぱその時俺も子供だからさ、「師匠がクビになっちゃう」とか色んなこと思うわけ。でいて、結構ヤバイところまで行ってたんだってことが分かるから。もうちょっとさ、泣いちゃいそうになるわけ。もちろん、本ワサビを両方の鼻に挿してたせいもある(笑)盗んで帰ろうと思って、軽くカウンターから盗んだ本ワサビを鼻の穴に挿したまま「師匠、それでどうなったんですか?」って言ってるから、それで涙も出てるんだけども(笑)
それでトイレ立ったりして、そうなんだ、あの時に、笑点の楽屋でそういうことが怒ってて、と。俺が思ってた以上に僕のために言い返してくれたりするし、結果こういうことになって…と。で、「しかも今度落語会をやるんだ」ってことに対して、ちょっとグッとくるわけ。