2020年4月21日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、俳優・香川照之が、映画『劒岳 点の記』はカメラマンとして「あまりに口うるさ過ぎて」干されていた木村大作監督のために出演したと告白していた。
香川照之:映画『劒岳』は、あれは木村さんのために僕たちが命を捧げたっていうか。
伊集院光:はい。
香川照之:木村さんの道具ですよね。
伊集院光:ふふ(笑)
香川照之:もう当時、仕事がないわけですよ、木村さんがもう。
伊集院光:そうですね。
香川照之:タクシーの運転手までやっちゃったっていう。あまりに仕事がない。
伊集院光:そうなんですか(笑)
香川照之:あまりに口がうるさすぎて、映画監督に使ってもらえなくなっちゃって。
伊集院光:そうなんですよね。
香川照之:深作欣二さんも…降旗康男監督だけですよ。
伊集院光:カメラマンなのに、口出ししすぎて。
香川照之:しすぎて。僕は、カメラマン時代に木村さんとも2~3度仕事させていただきましたけど。いずれも降旗康男監督でしたけど。
伊集院光:はい。
香川照之:「カット!」ってかけるじゃないですか、監督が。そしたら、まず「はいOK!次!」って、(木村)大作さんが言って。
伊集院光:アンタじゃねぇだろっていう(笑)
香川照之:アンタじゃねぇだろって(笑)でも、当時、モニターがないわけですよ。
伊集院光:はい、はい。
香川照之:監督もモニターなしで、小さいモニターぐらいはあった時代も後にありましたけど、ほぼほぼモニターがないので、フレームの画角がどこまでとか、カメラマンしか分からないから。
伊集院光:なるほど。
香川照之:その時の「OK言うの、アンタじゃねぇだろ」の大作さんの意見は、「バカ野郎!カメラ覗いてんのは俺だろ、俺しか分かんねぇんだよ、OKは!」っていうね、理屈にならない理屈を言うわけですよ。
伊集院光:はい(笑)
香川照之:『劒岳』の時もそうですよ。いずれにしても大作さんは、「そんな監督にOKって言えないんだったら、俺がもう撮る」って撮りだしたのが、『劒岳』だったんです。
伊集院光:はい。
香川照之:で、その前にもう、景色だけは死ぬほど撮ってたから、実景は全部回ってるわけですよ。「あとは俳優さんだけ撮ればいいから」って、台本持ってきて。それが一年前の降旗監督の現場ですよ。
伊集院光:はい。
香川照之:『憑神』っていう、妻夫木聡君がやってる時に、「香川君、台本あんだけど、一つ読んでくれる?」って、『憑神』って台本と全然違う台本出てきて、『劒岳』って書いてあるわけです。
伊集院光:はい(笑)
香川照之:「何ですか?これ」って言ったら、「これね、実はやってもらおうと思うんだけどね。どうかね?これ」って。「浅野君はOKって言ってるんだけど」って。で、浅野さんには「香川君OKって言ってるんだけど」って。
伊集院光:絶対、そうです(笑)あのたぬきオヤジのことですから、絶対そうです(笑)
香川照之:「アンタそういう人だったのか」って。「もっとまっすぐな人だと思ってたのに」みたいな。
伊集院光:うん。
香川照之:それでOK出させられて。で、「香川君、仲村トオルさんと親友だって?この台本、持ってってくれる?」って、俳優を使ってネズミ講みたいになってくわけですよ。
伊集院光:はっはっはっ(笑)
香川照之:テメェは何の力も出さないでね。俳優だけに伝播させていくっていう。