2020年8月5日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、俳優・佐藤二朗が、自分の俳優人生を変えたのは「役名もない、医者Aという端役」出演のワンシーンであり「見てる人は見てる」と語っていた。
佐藤二朗:プロになったのは、自転車キンクリートっていう劇団、今も非常に仲良くさせていただいてる、舞台演出家の鈴木裕美さんっていう方の下でやっていて。
伊集院光:はい。
佐藤二朗:それの舞台を見に来た堤幸彦、大御所の方ですね。
伊集院光:はい、はい。
佐藤二朗:が、当時『ブラックジャック』っていうドラマをTBSで撮っていて。
伊集院光:ありましたね、テレビ版の『ブラックジャック』。
佐藤二朗:はい、はい。単発で、本木雅弘さん主演で。それに、板東英二さんに癌の告知をする「医者A」っていう役で。
伊集院光:はい。
佐藤二朗:ワンシーン。名前もないですよ。
伊集院光:はい、はい。
佐藤二朗:ワンシーンだけ使ってくれたんですね。
伊集院光:はい。
佐藤二朗:それ、堤幸彦が面白く撮ってくれたんですよ。で、面白いシーンになったんです。それを本木さんと本木さんの事務所の社長が見て、「誰だ?コイツ」ってなって、「ウチに引き抜け」ってなって。そのワンシーンで。
伊集院光:何歳ぐらいですか?
佐藤二朗:僕が29歳ですね。
伊集院光:うわ、遅咲き。
佐藤二朗:そうです。
伊集院光:29のワンシーンが?
佐藤二朗:そうです。
伊集院光:凄い。
佐藤二朗:だからね、この話をすると、なんか成り上がった自慢みたいに聞こえるからイヤだなって思ってた時期があるんですけど、ある時、ある先輩俳優が「お前、その話はいかに若い俳優たちの希望になりうるか」と。
伊集院光:いや、そうですね。
佐藤二朗:だから、見てる人は見てる。だから僕は、たとえばA、Bみたいな役の人で、落ち込んで何もできずに。あるいは、良い芝居をしたんだけど、撮ってくれず。カメラは主役で、自分は裏のセリフで、みたいな感じで、落ち込んで泣いて電車で帰る、みたいな俳優が多いんですけど、多分。
伊集院光:うん、うん。
佐藤二朗:そういう人たちに、わりと自信を持って言えるのは、「見てる人は見てるぞ」っていうのは、自信を持って経験上言えるんです。