2025年6月30日放送のニッポン放送系のラジオ番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(毎週月-金 11:30-13:00)にて、放送作家・高田文夫が、「新宿クリスマスツリー爆弾事件」の犯人である梶原譲二の娘・梶原阿貴が書いた『爆弾犯の娘』を絶賛していた。
高田文夫:本当に仲良かったのよ。で、18なんだよ。18で現在、俺、77なんだよ。
松本明子:はい。
高田文夫:ダーンと目の前に現れたんだよ、梶原が(笑)凄くない?(笑)
松本明子:へぇ(笑)
高田文夫:14年間逃亡してだよ。で、6年間刑務所入って、20年間あの人は浦島太郎だから。
松本明子:はい。
高田文夫:だから、タバコの値段も知らないんだよ。何も知らないんだよ。
松本明子:へぇ。
高田文夫:改札口で挟まれて、バタバタやってんだよ(笑)そのくらい、この時代とはそぐわないんだけど。
松本明子:ええ。
高田文夫:それがさ、週末にさ、手紙とともにさ「こういう本ができました」って。
松本明子:本?
高田文夫:ほら。『爆弾犯の娘』って。凄いだろ?「梶原阿貴」って書いてあるんだよ。ほら、これが俺の友達の爆弾犯の、梶原君の娘なのよ。
松本明子:へぇ!
高田文夫:これがさ、一気に書くの。ブックマン社かな、もうすぐ並ぶと思うんですけど、これ、土日で一気に読んでてさ。大変だね、やっぱり逃亡生活って。本当に大変(笑)
松本明子:へぇ。
高田文夫:だって、要するにお芝居やってる同士だから、ツリー爆弾やって、仕掛けて、逃げて逃亡して。そこで同じ演劇仲間の女性と、2人で結婚するわけ。
松本明子:へぇ。
高田文夫:で、逃亡中にこの子ができるわけ。
松本明子:なるほど。
高田文夫:それで、池袋の端っこの怪しいところに隠れ家を作って、そこで3人で暮らすんだけど。
松本明子:へぇ。
高田文夫:娘にとっちゃ、誰だかわからない。「あの人、誰なの?」みたいな。で、お父さんはずっと隠れてるんだよ。奥さんがよそ行って働いてきて、手芸とかやったりとかして働いてさ。
松本明子:うん。
高田文夫:また、この娘がトンチが利くっていうかさ、文章も面白いんだけどさ、凄いんだよ、もういろんなことがあってさ。もうそういう子だからさ、世の中のいろんなことわかるわけだよ。
松本明子:ええ。
高田文夫:もうさ、住まいはね、池袋の風俗店の真ん中で、どうのこうのって、ヤクザばっかりとか言ってさ(笑)
松本明子:へぇ。
高田文夫:ヤクザしかいない喫茶店にいつも行ってたとかさ。もう中学からさ、撮影現場、助監督でつけられて、走り回ってスクリプターやったりさ、もうADやってさ全部やって。中学だよ。そっからもうずっと走り回って。
松本明子:そうなんですか。
高田文夫:もう血だから。お父さんだってね、その頃爆弾やる前、結構演劇でいい男だから、そこそこ名前があって。だから、石橋蓮司、緑魔子の次に名前載ってるからね。
松本明子:へぇ。
高田文夫:ポスター、3番目に。結構いいところ出てるんだよ、梶原譲二で。で、娘は中学から働いて、現場でみんないろんな、プロダクションの人とかみんな助けてくれるから。「爆弾の娘」とか言ってさ(笑)仕事もらったりして。ちょっと可愛いから、高校になるとさ、役者でオーディションいっぱい受けると、結構、あの頃の青春映画、いっぱい出てるんだよ。
松本明子:へぇ。
高田文夫:物凄い出てる。その子のマネージャーやってる小林さんって女の人がいて、その人が綺麗ないい人なんだけど、その人がコナンとか書いてる脚本家、有名なね、売れてる。その人と結婚するんだよ。
松本明子:へぇ。
高田文夫:そうすると、その先生に弟子入りするんだよ。それでもうコナンとか全部書き出すのよ、脚本家として。だからもう、女優もやったし、脚本家としても売れて、で、「ずっと隠してることがある」っていうので、それで今回、初めて本を出したわけ。それが「これが父です」と。
松本明子:へぇ。
高田文夫:これが、圧倒的に凄いんだよ。物凄い。
松本明子:へぇ。
高田文夫:今回、「桐島です」って現れたじゃない、この間。何十年間も逃亡して。
松本明子:病院でね、本名を言って。
高田文夫:それで出頭して4日目に亡くなっちゃったけど、最期は自分の名前を名乗って、「桐島です」って。あれをさ、この本作った人のプロデューサーがさ、高橋伴明さんにさ、「桐島撮るのお前しかいないんだから、撮ってよ」って言うわけよ。
松本明子:はい。
高田文夫:そしたら、この伴明さんがこの梶原の娘に、「お前、爆弾犯の娘なんだから、こういう逃走犯の話書けるのお前しかいないだろ。逃走犯の気持ちわかるのお前しかいないだろ」って、「5日間で書け」って言われて、脚本書いちゃうんだよ。
松本明子:へぇ。
高田文夫:で、今度もう映画撮ったんだよ「桐島です」って。
松本明子:で、彼女は彼女で、この桐島に対して気持ちがね、同情っつうか、分かるんだろうな。だって、どこの交番行っても、当時そうだったけど必ず桐島と梶原譲二の2枚の手配写真が貼ってあったの、どこでも。必ずツーショットなんだよ。
松本明子:はい。
高田文夫:そしたら、だから『太陽を盗んだ男』ってジュリーのあの映画で、歌舞伎町をバーッと映すだろ、そこで交番映るんだけど、パッとストップモーションすると分かるけど、桐島と梶原の写真がドーンと(笑)「ジュリーの映画出てるよ」みたいな(笑)
松本明子:へぇ。
高田文夫:すげぇじゃんみたいな。79年のね…詳しい話は色々あって。もう時間になっちゃったけど、そんなこんなんがあって、色んなことを思い出してたわけよ、梶原君のことを60年間会ってねぇなって。
松本明子:はい。
高田文夫:で、今、出がけ、志ららがさ、朝来てさ。「先生、手紙来てますよ」「何?」って今、パッと開けたら「梶原譲二です」って、当人から(笑)
松本明子:へぇ!
高田文夫:今朝、これ読みながら来たんだよ。いやぁ長生きはするもんだ、と。お互いにね。いろんなことがありましてって書いてあるんだよ。本当に…「こういう、いろんなことは生きていればこそですね」と。
松本明子:ご当人?
高田文夫:「人生の摩訶不思議、面白さです」と。「娘も書きましたんで、ご一読いただければと」って。凄いだろ?また奥さんが凄い、奥さんのおばあちゃんがさ、伊豆で芸者の置屋やってるんだよ。このキャラクターが面白いんだよ、また(笑)
松本明子:へぇ。
高田文夫:出てくるキャラクターみんな、すごいんだよ。もう笑っちゃうんだよ。でも、俺もほっとした。
