小島秀夫、『DEATH STRANDING』のタイトルの意味と新たに導入したゲーム性について解説「プレイヤー同士は直接見えず、痕跡しか見えない」

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2019年12月3日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、ゲームクリエイターの小島秀夫がゲスト出演し、『DEATH STRANDING』のタイトルの意味と新たに導入したゲーム性について解説していた。

間接的に繋がっている世界

伊集院光:何十人と戦争するようなゲームはいっぱいある。本当に、密なコミュニケーションがいくらでもとれるのに、このゲームは、ゆるやかに、「俺以外にも世界中でこのゲームをやっている人がいる」っていう。

中村仁美:うん。

伊集院光:荒れ果てた荒野をずーっと俺は歩いてるから、下は石だらけで、荷物担いでてコケそうになったりするんだけど。

小島秀夫:うん。

伊集院光:しばらくやってると、「あれ?ここ道になってねぇか?」って。

小島秀夫:そうなんですよ。自分が通ったところとか、何人かがそこを踏んでくと固まっていきますよね。これ、けもの道になるんです。

伊集院光:それとある日突然、「ここ、橋かかってんな」っていう。

小島秀夫:それは誰かがかけた。自分がかけてもいいんですけど、自分がかけたやつは、世界中で見えるようになるんです。で、通った人が「いいね」くれるんで。だから、国道建設をハマる人がいて、国道ばっかり作ってる人がいる(笑)

伊集院光:ふふ(笑)

小島秀夫:国道を作ると、それが道になってそこでトラックとかバイクで物を運べて便利になるんですけど。そればっかりやってる人もいますよ。

伊集院光:その気持ち凄く分かるのは、密にコミュニケーションして、知らない人と一緒に戦ってると、それはそれで面白いんだけど、ケンカにもなるの。「お前がしっかりしないから、俺らがやられた」みたいになるんだけど、このゲーム途中から、「僕がかけたハシゴを渡った人がいて、俺に感謝してくれてたりする」って。

小島秀夫:ふふ(笑)

伊集院光:高々、あんなハシゴをかけるのに大変だったのに、猛烈な橋がかかってるってことは、世界のどこかに、俺らのことを考えて橋をかけた人がいる、みたいな。

小島秀夫:そうですよ。

伊集院光:ゆるい感謝みたいな。

「棒」と「縄」

小島秀夫:結局、ゲームが35~40年ぐらい進歩してきたんですけど、ずっと棒のゲームで。

伊集院光:棒?

小島秀夫:棒で相手を遠ざける。今は銃ですよね。

伊集院光:うん。

小島秀夫:で、縄って概念があって。棒と縄があって、今、僕らの文化があるんですけど。

伊集院光:うん。

小島秀夫:オンライン、縄じゃないですか。世界中がインターネットでつながったのに、ヘッドショットし合ってるとか。

伊集院光:撃ち合ってる。

小島秀夫:もしくは、一緒に大きな敵を倒すって、棒のゲームなんですよ。なんで、僕は縄の概念を取り入れようとして。

伊集院光:ほら、分かんなくなってきた(笑)

小島秀夫:全部が間接的に繋がることで、思いやる。だから、SNSみたいに直接的じゃないんですよね。…相手が何を考えてるか思いやらないと、答えは出ない。直接、ケンカとかできないんで。

伊集院光:うん。

小島秀夫:だから、よく言いますけど、ハシゴをまず使いましょう、と。ハシゴは川を渡るとか、段差を渡るとか、クレバスを渡るとか。それは自分のためにかけるんですよ、最初。たった一人やから。ゲームの中に自分しかいないんで。

伊集院光:うん。

小島秀夫:で、渡ると、そのハシゴは置きっぱになるんですね。置いた瞬間に、世界中の人が見えるんです、使えるんです。

伊集院光:うん。

小島秀夫:で、自分は先に行ってると、後からきた人がどんどん通ると、「いいね」くれるんですよ。ここで考えますよね、自分のためにかけた橋が世界の役に立ってるって思うと、この次なんですよ、重要なのは。思いやりが出てくるんですよ。

中村仁美:なるほど。

小島秀夫:次、立てる時に「こっちがいいかな。みんな喜ぶかな」って、こういう距離が。

伊集院光:不思議よ。コミュニケーションを直接的にしてないんだけど、雑にハシゴを立てたくなくなるのね。「ここが一番効率的で、いいところに立てたって思って欲しい」って。これが物凄い新しいのと、凄いワクワクするの。

小島秀夫:たまに間違った橋ありますけどね(笑)そこ行ったらえらいところ行かされるっていう(笑)

伊集院光:伝っておりてったら、「崖の一番下から、どうすりゃいいんだよ」っていうのもありますけど(笑)

小島秀夫:そこから下、降りれないか(笑)

伊集院光:その辺が変わってて。

「DEATH STRANDING」とは

小島秀夫:あの世のものが、STRANDINGしてきてるんですね。

伊集院光:STRANDINGの言葉の意味も分かってないから(笑)

小島秀夫:座礁。だから、DEATH STRANDINGは、あの世のものが座礁してくるっていうことで。元々、STRANDINGはクジラとかイルカが海岸へ打ち上げられてんのを言うんですけど。

伊集院光:へぇ。

小島秀夫:海の世界からきてる。

伊集院光:はい。

小島秀夫:で、陸と海の境界がビーチじゃないですか。それで、あの世のものが来るっていうのが、「DEATH STRANDING」なんですけど。

伊集院光:うん。

小島秀夫:見えないんですよね。で、お互い、プレイヤー同士も見えない、痕跡しか見えない。足跡しか見えないんですけど、あの世のものも見えない、手形は見えるんですよ。

伊集院光:うん。

小島秀夫:で、見えないのでどうするかって言うと、触れ合うと爆発して、ボイドアウトしてクレーターができてしまう。このゲーム、クレーターができるとそのまま残るんで、やり直しきかないんですよ。

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