2020年5月27日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、女子プロレスラー・木村花の死によって、SNS上の誹謗中傷が問題視されて法改正の動きがあることに待ったをかけていた。
伊集院光:ネット上の誹謗中傷によって、自殺に追い込まれてしまう人がいる、それから心を病んでしまう人がいるってことはよく分かるんですけど。これを法律を改正してって時に、この勢いでいくのは、僕は相当慎重にしないとダメじゃないかって思うんですけど。
中村尚登:やっぱり表現の自由、通信の秘密っていうね。憲法で守られたものがあるんで。
伊集院光:はい。
中村尚登:「憲法もあるけど、それよりこういうものがなくす方が優先するだろ」って言って行っちゃうっていうのは、怖い気がしますよね。
伊集院光:そうなんですよ。
中村尚登:でも同時に、ネット上の名誉毀損やプライバシーの侵害とかっていう相談が、総務省に2019年、昨年度だけでも5000件以上寄せられてるわけですね。
伊集院光:はい。
中村尚登:10年前に比べると、4倍以上に膨れ上がっている。相当、そういうものの被害っていうことが広がっていることもたしかなんで。
伊集院光:はい。
中村尚登:いかにしてその辺の兼ね合いをきちんと見つけて、防ぐことができるかですよね。
伊集院光:僕は個人的に…SNSの協会みたいな、団体みたいなものも、これをどうにかしないととは思ってる状況なんですけども。
中村尚登:うん。
伊集院光:きちんと自分の身元を明らかにして、アカウントをもらう。いつでも自分が違法なことをしてしまった場合に、その身元が開示されたとしても構いませんという覚悟でやる時に、タレントって、ちゃんと身分証明書を送ると、認証マークつくんですよ。
中村尚登:はい。
伊集院光:「これは間違いなく伊集院光だ」ということをツイッターは確認しましたってマークがつくじゃないですか。ああいうものを、一般の人にも色々規約作ってやった上で、たとえば僕は、それが入ってる一般の人のものしか見ない、見られないようにするとか。
中村尚登:うん。
伊集院光:ちょっと段階を踏まないと。「僕は傷ついたよ。あれは誹謗中傷だよ」って思うものの中に、どれぐらい、俺の猛烈に痛いところを突いている批評や、僕の間違いを突いてる批判があるのかは、僕では分からないと思う。悔しいけど。分かるつもりでいるけども。
安田美香:ええ。
伊集院光:「これは誹謗中傷なんだ」っていうものとの差を明確に引ける人がいるかって言うと、僕はいない気がするんですよね。
中村尚登:責められると、全て誹謗中傷だって見えてくるケースって多いですからね。
伊集院光:思いますよ。「お前の言ってることは間違ってんだよ、デブ」っていうのと、「伊集院さん、それは間違ってると思います」っていうことのこの間にも、凄いグラデーションありますからね。
安田美香:うん。
伊集院光:それを誰が言ったんだってことを、こじ開けられるようにしてしまうことは、僕はとても怖いって思うんですけど。でも、昨日も言ったんですが、「怖い」って、俺は何をかばってるんだってことあるんですけど、みんな冷静になって欲しいのは、テレビでコメントをしているタレントもコメンテーターも、わりとSNSにおいては(誹謗中傷を)受ける側だから。
安田美香:ええ。
伊集院光:どうしてもテレビで議論をする時に、「けしからん」の話が強くなる傾向があるっていうのは、少なくとも色んなメディアで発言する人は、思った上で発言しないといけないと思うんですけど。
安田美香:うん。
伊集院光:ただ、これだけは言っておきます。すげぇ傷はつきます。「それはめちゃめちゃイヤなんですが…」っていうところですね。