2023年8月3日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『ハライチのターン』(毎週木 24:00-25:00）にて、お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気が、宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』の感想を「理解できなかった」に留めておこうと思う理由について語っていた。
岩井勇気：あんま入ってなかったね。
澤部佑：って聞くね。
岩井勇気：夕方ぐらいに行ったけど。
澤部佑：うん。
岩井勇気：なんか、10人ぐらいだったね。
澤部佑：ああ、そう？
岩井勇気：うん。俺を含めね。
澤部佑：うん、うん。
岩井勇気：で、まぁ率直な感想をまず言わせてもらうと。
澤部佑：はい、はい。
岩井勇気：理解できなかったね。
澤部佑：理解できない？
岩井勇気：うん。
澤部佑：そんな感じなんだ。
岩井勇気：みんななんか、そういう感じ、今。
澤部佑：今、そういう声が多い？
岩井勇気：なんか絶賛してんのを、ちゃんと絶賛できてる人、あんま聞いたことないね。
澤部佑：ああ。ちゃんと芯食って？
岩井勇気：うん。
澤部佑：言い当てて、なんか絶賛してる人が。
岩井勇気：あんまり俺、聞かないね、今のところね。
澤部佑：なるほど。難しいんですか？
ジブリ作品でよくある「説明のなさ」が全編に
岩井勇気：今、見てて何が起こってんのか。で、あとセリフも分からないことだらけで。
澤部佑：へぇ。
岩井勇気：表現的にはだから、「ついていけなかった」っていうのが、一番正しいのかもしれないですけど。
澤部佑：ああ。
岩井勇気：そう。どう分からないのかって言いますと…
澤部佑：それ説明できるの？
岩井勇気：だからねジブリって、ナウシカとか、ラピュタのシータとか、言ったらハウルの動く城のハウルとか。
澤部佑：うん。
岩井勇気：なんか宮﨑監督作品は特になんだけど、登場人物同士しかわからないセリフみたいなのを、なんか言うんだよね。
澤部佑：ああ。
岩井勇気：一応通じてる、みたいな。説明が優しくないようなセリフっていうか。
澤部佑：ああ。
岩井勇気：たとえば、ハウルの動く城で言ったら、なんかハウルがそのソフィっていうこの主人公に、なんか逃がす時に「大丈夫、方向は指輪が教えてくれる。カルシファーを心の中で叫ぶんだ」みたいな、よくわかんないじゃん、なんか。
澤部佑：なるほど。
岩井勇気：でも、ソフィー自体は、言われてるソフィーはそれすぐ理解するのよ。で、こういうことがジブリの中って、宮﨑駿監督だとちょいちょいこういう、なんかこっちがちょっと置いてかれてるようなセリフがあるんだけど。
澤部佑：ああ。
岩井勇気：まぁ、でもそれを読み解いて、分かった時にやっぱり見てる方は気持ちいいですしね。
澤部佑：ああ。読み解けたりもできるんだ？
岩井勇気：読み取れない部分があったとしても、「いや、なんかカッコイイな」みたいな。
澤部佑：まぁ、分かんなくても。
岩井勇気：理解したいな、みたいな。なんかジブリのこの宮﨑駿の作る世界って、俺らの世界のことわりとは違うんだ、みたいな。
澤部佑：なるほどね。
岩井勇気：それが格好良かったり。なんかそういう魅力があったりして。
澤部佑：そこについていきたくなるっていうか。
岩井勇気：うん。でも、今回の『君たちはどう生きるか』は、全編それやってる感じ(笑)
澤部佑：はっはっはっ(笑)全編なのか。
岩井勇気：全編、それやられちゃった感じっていうかね。
澤部佑：へぇ。
岩井勇気：それはもう、ついていけないじゃん。
澤部佑：ああ、そう。
宮﨑駿監督濃度の濃い作品
岩井勇気：うん。ついていけなかっことなんだけど。でも、宮﨑駿監督濃度はやっぱ濃いですよ。
澤部佑：宮﨑監督濃度っていうのは、どういうこと？
岩井勇気：だから、そういう独特の色を濃くやっぱりやってるよ、めちゃくちゃ。濃いっていうか、もう100%抽出してるような感じ。
澤部佑：うん。
岩井勇気：でも、ずっとこう優しくない。見てる側には。
澤部佑：それはちょっと大変だなぁ。
岩井勇気：だけど、そのアーティストなんていうのは、やっぱそれでいいと思うんですけど。自分の価値観を提示すればいいんだから。誰の理解も求めずに、自分の濃度の高いものをやっぱ作り出した方がいいじゃないですか。
澤部佑：それで、あとはもう受け取り手の。
岩井勇気：そう、そう。それがアーティストだと思うんですけど。理解できないし、売れなくてもいい。「俺はこれがいいと思う」を、バンと出すのが俺、アーティストだと思うんですけど。
澤部佑：うん。
岩井勇気：で、売れるようにとか、やっぱ理解できるようにっていうのって、やっぱ大多数の共感を得ようとするっていうことだから。
澤部佑：はい。
岩井勇気：自分以外の価値観が、作品に入っちゃうってことじゃん。
澤部佑：うん、そうね。
岩井勇気：そこに迎合しようとすると。自分だけが作ってんじゃなくて、なんか民意で作品作ることになるじゃないですか。
澤部佑：そうね、ウケるためにね。
岩井勇気：それをしなければ、ああなるよなぁって感じ。
澤部佑：ああ、そういうの全く入れずに作り上げたら。
岩井勇気：「ああなるよねぇ」っていう感じ。
澤部佑：ああ(笑)そういうの全く入れずに作りあげたら。
理解したことを装うことはすべきでないと思う理由
岩井勇気：そう、そう。だから、こっち側があれを見て、無理に「なるほど」みたいな。
澤部佑：うん。
岩井勇気：「いや、これこういうことですよね」みたいな、分かった風な口をきくのって、宮﨑監督への冒涜な感じがするっていうか。
澤部佑：なるほど。そういうつもりで宮﨑さん作ってるのに？
岩井勇気：そう、そう。なんか浅いところで理解されたような感じ出されてもっていうことな気がするんだけどね。自分が作ってたら、そうかもなとか思って。
澤部佑：うん。
岩井勇気：だからこう素直に、「ついていけなかった」で俺は、落ち着いたんですけど。
