神田松之丞、立川談志が弟子・志の輔に完敗して悔しがる格好悪さ・ダサさを隠そうともしない姿を「凄く愛おしい」と思うと語る

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2019年9月27日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『神田松之丞 問わず語りの松之丞』(毎週金 21:30-22:00)にて、講談師の神田松之丞が、立川談志が弟子・志の輔に完敗して悔しがる格好悪さ・ダサさを隠そうともしない姿を「凄く愛おしい」と思うと語っていた。

神田松之丞:談志師匠が志の輔師匠って超優秀な弟子と二人会をやるんですよ。これが新橋演舞場で、大きいところでやるわけ。その頃の談志師匠って、喉悪くしてたりとか、あんま体調も良くない。で、志の輔師匠バリバリなんですよ。

ニ人会やる。で、それはもう全盛の談志師匠だったらさ、志の輔師匠だったら足元にも及ばないってのは志の輔師匠が一番分かってるんだけど、そんな中でやっていくわけ。で、その時に、もうなんか談志師匠もちょっと新橋演舞場でさ、あんまやりつけないところだからちょっと興奮してるみたいな感じでさ。

で、談志師匠がさ開口一番、新橋演舞場の花道からファーっていくわけよ。で、言ってそれでもってなんて言うかっていうと、今日は歌舞伎ファンが多そうだから、ぶちかましてやる、みたいな感じで、談志師匠が言ったのが大きな声で女性器の名前を言ったの。

ドンズベリなわけ。ビックリするぐらいスベってんの。で、その後ネタも全然ウケてないの。で、楽屋戻ってきて、その時志の輔師匠のモニターで、声聞こえてくるわけよ。どっかんどっかんウケてんだよ。まぁ、そりゃそうだよ、志の輔師匠腕があるからさ。

で、談志師匠機嫌悪くなってんだよ、どんどん、どんどん機嫌悪くなって。で、楽屋で談志師匠がガッて上げない、独特のバタバタ、バタバタさ、あの亀が甲羅をひっくり返された時に、バタバタ起き上がろうとするみたいな、変な腹筋運動を始めて。

「チクショー!」って言ってんの。「すべったー!」って(笑)超格好悪いんだよ(笑)でも、それが超カッコイイの、カメラの前で。

だってさ、そんなのテレビで『情熱大陸』だよ。自分が特集されてるんだよ、そんな志の輔師匠よりじゃあ現場で仮にスベってたしよう、ウケてなかったとしても、ウケてたふうに、いくらでもテレビなんかできるよ、編集で。

でも、談志はそれ認めないの。負けたっていう事実に対して、あの人は嘘ないから。もうだって一席目で腹筋しちゃってんだもん、「チキショー!」って。

で、最後しょうがないから、『子別れ』っていう人情話やったの。それも寄せてったんだよ、新橋演舞場の客に。それでもそんなに自分の中で手応え感じなかったのね。まぁ、客がさ、ワーッとかさ、やるじゃん。で、終わった後に談志師匠が廊下で「なんで俺は良くなかったのか…志の輔はウケてた。これは俺が直せることなのか、直せないことなのか…考えなければいけない」みたいなことをずっと言ってるわけ。

そのダサさったらないわけよ。で、楽屋戻ってきても、ずーっとブチギレてんの。「いや、師匠よかったですよ」なんて太鼓持ちが言っても、「いや、よくない」って。「志の輔はウケてた。俺はウケてない。チキショー」って言ってんのよ。

なんて格好悪いんだって思うの。弟子に負けてんのよ。でも、それが俺はカッコイイと思うわけ。凄く愛おしいの。そういうのを全部見せる談志師匠が大好きで。

だから、江戸の照れを感じさせる人が好きだったのかなぁっていうふうに、ちょっと思ってね。

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