2019年8月5日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』(毎週月 25:00-27:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、漫才師がキングオブコントへ出場する時の苦労を明かしていた。
伊集院光:結局今さ、登竜門とか、売れるきっかけが「賞レース」が一番分かりやすいから。M-1の決勝いくとか、キングオブコントの決勝行くっていうのが、一番デカイじゃん。分かりやすいじゃん。
そうすると、本当は自分は漫才なんだけども、キングオブコントにもエントリーして、あまりやり慣れてないけれどもコント作ろうとか。その逆で、自分はコントなんだけども、これを漫才コントみたいに加工して、M-1も出よう、みたいなことになってるらしいの。
で、その一人はキングオブコントの予選があるから、慣れないけどコント作んなきゃって。いつもは漫才やってんだけど、コント作るわけ。で、一回戦でやるんだけど。そんな状況だから、そこまで自信がないわけ。
本業の漫才ですら、なかなか上にはいけないっていうの分かってる中で、コントも相当人数がいる中で、本職じゃない俺らがどうなんだろうって思いながら作ってできたネタが、大手のゼネコンの巨大マンションの建設現場で2人、なんかその重いセメント袋を持つ、持たないみたいので揉めるみたいなコントができた、と。
で、自分の想定の中では、黄色いヘルメットに「何々建設」って書いてある作業着を着て、みたいな形で。でいて、そのコントが始まる。パッと見て、「あぁ、そういう建設現場なんだ」っていうので、セメント袋を持つ、持たないが始まるんだけど。
これをパッと計算しても、きちっとした上から下までの作業着とか、そういうところでしかるべき安全靴とか、ヘルメットみたいのをかぶると、とてつもなく衣装代がかかる、と。自分たちは漫才をやってきてるから、ある程度一枚の衣装でなんでもできたんだけど、このコント一回戦でかけるのに、いくらかかるんだよって話になる、と。
で、だけどお笑いとして手抜きはダメじゃん。手抜きはダメだから、この満額を払う、払わないっていう問題が2人で持ち上がるわけ、相方と。で、いろいろ自分に言い訳をしながら、「衣装が完璧じゃないという理由で、一回戦すら勝ち上がれないのならばこのコントは弱いってことじゃないか」と(笑)
言い訳のニオイは、凄いするよ(笑)するけど、結論として、でも分かんないことはないよね。これが自分たち、このネタのクオリティだけで、どんどん…たとえば同じネタをやったとしても、準決勝まで行きました、と。準決勝まで行って、いよいよ準決勝になってくると、僅差が求められてくる。そしたらお金を出すだしてでも、ちゃんとした衣装を着なきゃってことになるから。
一回戦、その程度の衣装差で落ちるなら、それはネタに力がないっていうことで、一回戦はできる限り妥協しようってなって。「作業服じゃなくて、ランニングで首からタオルで軍手、でもいいんじゃねぇか」って言って。
色々、ホームセンターみたいなところを行って、「ヘルメット高いなぁ」ってなる(笑)「ヘルメット高いなぁ、どうしようかなぁ…粗大ごみの日、落ちてねぇかなぁ」とか(笑)もっと言えばその日、キングオブコントの日だけ休みの工事現場のバイトねぇかなぁ、みたいな。それで制服を家に持ってっていいバイトないかなって考えるんだけど、そういう該当するものもないわけ。
一回戦は一応、チノパンにちょっと汚れめのランニングシャツに軍手つけて、で、首からタオルをぶら下げてて、二人で話してれば、一応このコントの設定に近づくだろうってなんだけど、やっぱりさ、若手で自分で一生懸命、コント自体面白いのできたっていう時に、自分は完成形を知ってるから。そうじゃない後ろめたさがあるじゃんか。
そうすると、頭のセリフが「いやぁ、こんなにデカい高層マンションを作るのに、こんなラフな格好で俺たちいいのかな?」みたいなセリフから入るしかない、と(笑)
俺たち完成形しらねぇからどうだっていいんだけど、それもなんか必ずちょっと説明臭いやつの「ヘルメットを着けてないと、親方に怒られるんじゃねぇか?」「蒸し暑いところでヘルメット着けてられるかよ」…もう、ギャグも何にもないくだりが2分ぐらい頭に入ってるから、そこで(笑)
その苦労がまぁ面白くてさ。