古舘伊知郎、宮迫博之らの闇営業問題で「事務所は芸人の生活を守る最低保障を」というコメンテーターの意見に疑問

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2019年7月5日放送のニッポン放送のラジオ番組『古舘伊知郎のオールナイトニッポンGOLD』(毎月第2もしくは第3金曜 22:00-24:00)にて、フリーキャスターの古舘伊知郎が、宮迫博之らの関与した闇営業問題で、「事務所は芸人の生活を守る最低保障を」というコメンテーターの意見に疑問を呈していた。

古舘伊知郎:散々、色んなところで言われてるんだけど、僕はあの「闇営業」問題、やっぱりね、小骨が引っかかるっていうか。月1回しかやってないから今日になっちゃうんだけど。

「反社会的勢力」という言葉への違和感

まぁ大した話ができるわけじゃないけど、強く思うのはまず言葉のこだわりで言うとね、世の中、何でもかんでもね、「パリピ」だのね、「お前が言うな」が「おまいう」になったり、気持ち悪い略し方の中で、「反社」って言葉が、僕はイヤなんですよね。

「反社」とか、反社会勢力のことを言うでしょ、暴力団のこと。暴力団って言うより、反社とか、反社会勢力って言った方が収まりがいいっていうものがあるんだろうと思うけど。「社会に反する勢力」、分かりますよ。だけど、反社って言うと、社会から反した、大気圏の外にあるみたいな。大気内が世の中、大気外みたいな、そういうニュアンスも出るじゃないですか。

僕、悪って社会の中から生まれてしまうもんだと思うんですよ。で、悪っていうのは小っちゃければ小さい方がいいんですよ。ゼロにはならないと思ってる、そうでしょ。世の中っていうのは薄汚れていて、薄いグレーのほうがいいに決まってんじゃん、濃いグレー、黒よりも。

というもんだと思ってるんで、善があるから悪があるんでね、だからあんまり反社って社会の反対側にあるようなイメージにもつながるという言葉が、凄くヤダ。「暴力団」と言って、真っ向からちゃんと言うべき時は言うべきだなって、真面目に思うのと。

事の本質は「タレント・事務所」関係ではない

闇営業問題の「闇営業」って、これ散々みんな言ってるけどが、おかしいよね。闇じゃないし。事務所とタレントの問題の話じゃないですか。闇営業っていう言葉が収まるからでしょ。これはね…それこそ、タレントと事務所の関係で、事務所側から言えば、反事務所営業をやっていくということなだけであって。

僕が「気持ち悪い」ってね、小骨が引っかかるっていうのは、もうワイドショーでも雑誌でもそうなんだろうけども、芸人悪いかって言ったら、悪いですよ。少なくとも、「返せ」っちゅう。もうカネなんか受け取っちゃダメだっていうの、「あ、ヤバい」と思ったら。

「こういう感じか」と思ったら。もう、入江さんでも、誰にでも、もう無理やり仲介に入った人間に置いて、「受け取ってない」ってことにしなきゃダメよ、それはね。それは
悪いと思うけども、この問題の本質というのは、タレントと事務所の営業問題じゃないでしょ、これって。闇営業問題じゃなくて、オレオレ詐欺問題でしょ。

「事務所による最低保障を」という意見への違和感

だから、闇営業の問題ばっかりやってて、ワイドショーなんかも一部見ててもね、これ事務所関係者とか、事務所の社長とかね、闇営業行ったグラビアアイドルとか、ものまね芸人とか色々首から下で出てきてね、音声変えたり変えなかったりしながらね。

で、結果的にコメンテーターがどういうふうに言うかっていうと、僕なんか引っかかっちゃうのは、「こういう問題というのは、食えないっていう問題があって、ついそういう、営業取っ払いでやろうとしちゃうってのはあるわけだから、やっぱり事務所側も、最低保障の給与を与えることによって、暮らしていけるように…」って、おい、ちょっと待てと。

そういう人間の常道、手堅い暮らし方、生き方から外れて、キワキワを行くのが芸人じゃねぇのって話じゃない。これ、古い・新しいじゃないと思うんですよ。ゴルフで言えば、フェアウェイはカタギがいくもの。林の奥深いところ行っちゃうっていうのは、ちょっともうそれこそね、ヤバイ人たちが行くもの。

ちょうどフェアウェイと林の間ぐらいの、かなり長い草のラフですよ。そこをあえて孤独に行くのが芸人ですよ、喋り手だってそうだと思う、俺だってそうだと思うよ。そんなもんじゃないですか、普通じゃないんだから。だからこそ面白いこと言って、楽しませなきゃいけないし、それが喜びなんだから。

反社会的勢力の問題が置き去りに

悪いっちゃ悪いんですよ、カネ受け取っちゃって。そこは糾弾・批判されるべきだけども、もっと悪いのは、主催してる側だし、フロント企業側だし。オレオレ詐欺で、じいちゃんばあちゃんのカネ、騙し取ってる方が悪いんであって。

だから、そっちの問題に背を向けて、「最低保障の手当てをすべきで」なんていう問題は、関係ないっていう。そこがね、俺は物凄い引っかかっちゃうんだよね。

だって、お笑いがそういうところ行って悪いっていうのは、波打ち際の潮干狩りみたいなもんで、そこでやってとってる問題で、「この貝殻悪いよ」っていうのはわかるよ。

だけど、世の中っていうのは沖合に出なきゃいけないわけだし。もっと悪いものは、遠洋漁業してるかもしれないんだから。そっち方向までちょっとやっぱり追跡していかないと、事の本質を間違えちゃうっていう。

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