2020年5月5日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』(毎週火 25:00-27:00)にて、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が、ナインティナイン・岡村隆史の「コロナと風俗嬢」発言が炎上した理由は、「貧困に苦しめられている若者世代」の現状を理解しておらず感情を逆撫でしたからと指摘していた。
太田光:ナイナイの放送聴いててね。別に、俺の思うことが正解ではないですよ、当然ね。
田中裕二:それはみんな、色んな感じ方あるから。
太田光:今、岡村のあの発言によって、署名運動とかね、「チコちゃんやめさせろ」とか、そっち側の人、怒ってる人たちがいるわけじゃない。
田中裕二:うん。
太田光:と、岡村といて。俺はね、じゃあこの両者が、絶対的に決裂してるかって言うと、俺から見てですよ、分かり合えない相手じゃないと思うんだよね。
田中裕二:うん。
太田光:温度差はあるんですよ。凄く温度差があって。っていうのは、やっぱり岡村の発言が許せないとか。
田中裕二:傷つくとか。
太田光:傷つく。傷つけたんでしょう。で、恐らくそういう人達っていうのは、要するに今に始まったことじゃないんですよ。
田中裕二:うん、うん。
太田光:これ、今までもずーっとあったことで。
田中裕二:うん。
太田光:っていうのは、根底にあるのはそれこそその若い人たちが、俺らが思ってる以上にですよ、今の世の中で、若い人たちが凄く追い詰められてるんだってことなんだよね。
田中裕二:うん。
太田光:それは貧困っていうか、格差っていうのがあって。これは、それこそリーマンショックから失われた20年っていう中で。俺らはほら、バブルを謳歌してきたから。
田中裕二:してないけどね(笑)バブルの時も一番貧困にあったからね(笑)
太田光:一流企業に入ってさぁ、俺なんか。
田中裕二:入ってないでしょ(笑)バイトしてたでしょ。
太田光:で、カネに物を言わせて裏口で。
田中裕二:全然違うだろ(笑)
太田光:違って、今の若い人達っていうのは、本当、切羽詰まってるんですよ。
田中裕二:本当そうだね。
太田光:切羽詰まってて、もう貧困っていうのは、待ったなしの状態なんだよね。
田中裕二:うん、うん。
太田光:それぐらい追い詰められてるんですよ。
田中裕二:うん。
太田光:とにかく社会保障って言うけど。弱者って言葉が合うかどうか分かんないけど、社会保障なんかにしても、いわゆる老人だったり、あるいは障害を持った人たちに対しては、凄く手を差し伸べようっていうこともあんだけど、でもごく普通の若者が、実は今社会的に弱者って呼ばれるぐらい、貧困の中にいて。
田中裕二:うん。
太田光:そこには、行政が手を色々差し伸べようとしてるけどね。学校の無償化とか。でも、それじゃあとても足りないぐらいの貧困っていうのがあって。
田中裕二:うん。
太田光:それが彼らにしてみれば、大人が若者をずーっとこの何十年も、苦しめ続けてっていう思いがあるんですよ。
田中裕二:うん。
太田光:それは俺らは、高度経済成長期からバブルがあって。その時期には、終身雇用制度、福利厚生を会社も考えてくれたり。でも、そういう時代はとうの昔に過ぎ去ってて。それこそ、派遣切りだのさ、なんだかんだ色々あって、今、もうワーキングプアって、もう働いても食えないんだから。
田中裕二:うん。
太田光:学費が上がってるけど、じゃあ奨学金制度だっつって言ってるけど、それはもう貸し付けだから、いずれ返さなきゃいけない。そうすると、返すために首が回らなくなる、学生たちは。
田中裕二:うん。
太田光:卒業しても、延々と家賃は高い。どうにもならない。良い大学、東大生ですら、たとえば一部上場企業に入った人はまだいいけども、そこに漏れた人たちっていうのは、学校諦めなきゃいけないとか、奨学金返すために家も買えない。それは結婚もできない。子供だって、作れるわけないじゃないかと。
田中裕二:うん。
太田光:最低賃金も低けりゃ、いわゆる生活保護も減額されたりなんかしてる。本当に追い詰められてるんだよね。
田中裕二:うん。
太田光:追い詰められてる中で、シングルマザーだったりさ、それから中にはもう、家庭だって、親の世代もお金がないから、それはイライラが募って虐待があったり。
田中裕二:今ね。
太田光:で、会社は会社でブラック企業だ、ブラックバイトだっていう。要はそれを全くその考えてもらえない人たちがいて、ずっと働いてる奴はもう勉強できなくて、バイトばっかりになって。なおかつそれがブラックで。それが言い出せないとかっていうのがあって。
田中裕二:うん。
太田光:非正規だとかさ、家賃も高いとかさで。
田中裕二:うん。
太田光:ネットカフェ難民とかさ、もう家がないんだから。言ってみりゃ、職業選択の自由がないんですよ。自ら望んでそうなってるわけじゃなくて、もうその家に生まれた瞬間に。お前みたいにセレブの生活してる奴は…
田中裕二:何なんだよ。俺を悪者みたいに。
太田光:家がタワマンだろ?
田中裕二:何勝手なこと言ってんだよ(笑)
太田光:高学歴でさ、お前なんか。
田中裕二:高学歴じゃねぇよ(笑)最悪だよ、高学歴だと俺がもし思ってたら(笑)
太田光:お前のウチのガキなんか、甘やかされてさ、いいところ行くんだろ。それは格差なんだよ。本当に格差なんだよ。それが日本の現状なんだよ。若い人お大半はそういう状態にあって、生まれた瞬間にもう、チャンスすらない、職業を選べないんだから。誰も好き好んでっていう状態じゃなくて、まだ選べるチャンスがあればいいけど。
田中裕二:うん。
太田光:それすらない。もうこれは言ってみれば政治とか社会の構造自体が、若い連中がもう死ななきゃなんないぐらいの状況にいて。
田中裕二:うん。
太田光:もうだって、日に200~300円で暮らしてるような若い人たちがね。
田中裕二:今、特にコロナの影響もあるんだろうけど。
太田光:コロナ以前の問題だよ。そういうのがもう何十年も続いているわけだよ。
田中裕二:うん。
太田光:で、やっぱ彼らとしては、「こんな社会にしたのは誰なんだ」って言うと、俺たち世代なんだよね。世代論って、俺はあんま好きじゃないけども。
田中裕二:うん。
太田光:言ってみれば今、五十代とか。岡村は俺らよりちょっと下だけど。俺らが若い頃にさ、巨泉さんと散々揉めたじゃん。
田中裕二:うん。
太田光:「アンタらがよくない」って。
田中裕二:うん。
太田光:それと同じような思いを、今の若い人たちは、俺らの世代、「大人がなんでこんな社会にしたんだ」って、つまり怒りが俺らに向いてるっていう状況が、まずあるわけだよね。
田中裕二:うん。
太田光:一番、彼らが怒っているのはね、それを我々世代が認識すらしてないということだと思うのね。
田中裕二:うん。
太田光:認識すらしてなくて、政府にも全く声が届かないじゃないか、と。
田中裕二:うん。
太田光:で、毎日毎日苦しんでいる、もう食べ物もなくてどうしよう、生活保護も審査厳しいみたいな状態で、毎日毎日そういうことと向き合っている人たちがいて。
田中裕二:うん。
太田光:そのことを政治家も、大人も、芸人も、誰一人理解してないじゃないかと。
田中裕二:うん。
太田光:苦しいっていうのがあったのが、まず前提にあってね。
田中裕二:大前提でね。
太田光:で、それはコロナより前なんだよ。
田中裕二:前ってことね。
太田光:で、そこに今コロナの問題がきて、もちろんみんな厳しいけど、そのしわ寄せは、また若者にくるっていう焦りや、「どうしよう」っていうところがあるわけだよね。