2020年3月30日放送のニッポン放送系のラジオ番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(毎週月-金 11:30-13:00)にて、放送作家・タレントの高田文夫が、志村けんとともに『8時だョ！全員集合』での辛い修行時代に愚痴っていたことが「あれが楽しかったね」と振り返っていた。
松本明子：『8時だョ！全員集合』の全盛期があって。
高田文夫：うん、そうだよな。
松本明子：先生もだからそういった意味ではもう…
高田文夫：俺なんて、そのもっと前だもん。俺なんか、お互いに駆け出し時だよ。もう、お互いに。もう何だか分からないぐらいで。
松本明子：ふふ(笑)
高田文夫：俺が今71歳で、志村さんは70歳だよ。だから、年齢は一つ下なんだけど、あの人は高校からすぐ、いかりやさんのところの坊やで入っちゃったから。バンド好きだったから。
松本明子：はい。
高田文夫：だから、ビートルズを同じ日に同じ時間の公演で見てんだよ。
松本明子：へぇ。
高田文夫：前、雑誌でアンケート調べた回があって。ビートルズ、2日目の最初の回かな。
松本明子：武道館でやった。
高田文夫：同じ時に見ているんだよね。そのぐらいあの人も、音楽が好きで。
松本明子：へぇ。
高田文夫：で、ドリフターズに来てんだよ。高校からすぐ、音楽が好きで。
松本明子：へぇ。
高田文夫：それで、俺は大学でこの世界に入って。それで、ウチのお師匠さん、塚田茂っていうのが、いかりやさんと仲良くてさ。ドリフの演出なんか、そこの日劇の演出を全部やってたから。
松本明子：へぇ。
高田文夫：だからさ、俺とさ、松岡孝っていうのがいて。あとは鈴木哲。3人はさ、小僧っ子で。「お前ら預けるから勉強してこい」って言われて、『全員集合』に預けられるんだよ。それまだ俺、21～2だよ。
松本明子：へぇ。
高田文夫：何にも分かんないんだよ。行くともう、怖いんだよ、いかりやさんがもう(笑)もう、死ぬほど怖いんだよ(笑)
松本明子：いかりやさんが。
高田文夫：もう怖いんだよ。週に3日はだって、昼の3時ぐらいに集合で、夜中の2～3時解放まで、一言も俺たちは口聞けないんだから。
松本明子：ずーっと…
高田文夫：デカーい会議室の一番…ほらコの字の、司会者席があるじゃん。あそこにいかりやさんがポンと座ってて。あとは、こっちにダーッとディレクターと作家とさ。で、こっちには向かいの席に、メンバーがズラーッといて。あと、美術さん、技術さん、全部座ってさ。
松本明子：はい。
高田文夫：当時、黒板があるだろ。そうすると、パッと思いつくとさ、いかりやさんそれ書いてみて。「ああ、こういう坂は危ないから作れないか。じゃあ、これに車を落としてみようか」って。
松本明子：ああ、セットから？
高田文夫：だから、美術さんも気が抜けないわけだよ、いきなりパッと思いつくから。それで、いかりやさんが思いつくまで、俺たちは黙ってアイデアを出して紙に書いて渡しても、いかりやさんはずーっと黙ってるから。それが毎週2～3日やるんだから。
松本明子：うわぁ。
高田文夫：それで、俺なんか駆け出しだからさぁ。その会議室の一番隅っこ、もう目が合わないように、いかりやさんと目が合わないようにして、隠れて(笑)息を潜めているわけだよ。
松本明子：わぁ(笑)
高田文夫：でも、俺なんかこういう性格で狡いからさ。すぐさ、休憩しにタバコ吸おうなんて思っちゃってよ。子供心にさ、まだ小僧っ子なのにさ。
松本明子：はい。
高田文夫：で、ドアそーっと開けて出ると、志村さんなんかはさ、みんなバケツに水持って立ってんだよ。
松本明子：へぇ！
高田文夫：あとさ、すわ親治とかさ、あとは後にマックボンボン作った人とかさ。みんなさ、いかりやさんたちがなんか言ったら、ワッてお水持っていかなきゃいけないから。
松本明子：わぁ。
高田文夫：もう大変なんだよ。
松本明子：まだ会議室も入れないんですか。
高田文夫：志村たちはね。俺はギリギリ、最後。もうドアのこっち側、内側に座ってんだよ。で、俺がそーっと出てったらさ、お互い面白がって。「うるせぇなぁ」なんつって(笑)
松本明子：ふふ(笑)
高田文夫：志村がさ、「いかりやうるせぇだろ」なんつって(笑)俺も、「塚田茂もうるさいんだよな、アイツら。どんだけ偉いんだよ、アイツら」なんつって、2人で愚痴ってんだよ、廊下で(笑)
松本明子：ふふ(笑)
高田文夫：あれが楽しかったね。中にはまだ荒井注さんがいたからね。
松本明子：ああ、そうか。
高田文夫：注さんは寝てるし。鼻くそほじくって寝てるしさ、稽古中。それが週に3日つかまるんだよ。もう地獄の青春なんだから。
松本明子：大変ですねぇ。
高田文夫：それから色んなことがあって、俺の友達たちは、『全員集合』に残って志村君の最後まで付き添って、台本書くのよ。それで、弟子みたいな、朝長(浩之)君とか最後まで、テレビの台本を書いてたんだけど。
松本明子：へぇ。
高田文夫：俺の仲間たちは、最後まで『全員集合』書いて。俺は裏切って、逃げて『ひょうきん族』に行ったんだよ。
松本明子：『ひょうきん族』ですもんね、先生。
高田文夫：それが恩返しだよ。それは逆に言うとね、俺の恩返しだから、「お世話になりました」って、裏番組をやったんだけどさ。そういうことがあるからね。
松本明子：うわぁ。
高田文夫：色んなことがあるよ、やっぱり。
松本明子：長いお付き合いですねぇ。
高田文夫：50年だよ。付き合いなんか全然ないよ。修行時代が一緒なだけで、後は口も聞けないよ、お互いに。立場も違うしね、番組も違うし。
