神田伯山、立川談志が前座という立場ながら正面切って反論した神田紅を気に入ったエピソードに驚く「談志師匠の面白さ」

2020年6月12日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『問わず語りの神田伯山』(毎週金 21:30-22:00)にて、講談師の神田伯山が、立川談志が前座という立場ながら正面切って反論した神田紅を気に入ったエピソードに驚いたと語っていた。

神田伯山:紅先生が前座で、もう一人、談志師匠だったんだって。で、紅先生が高座上がってて。もうとにかく談志師匠が来なかったんだって、いつもの通り。とにかく談志師匠って人を試すんだか何だか分かんないんだけど、来ないんだよ。

で、紅先生が一席なんか『鬼夫婦』って滑稽話。前座だからつなげげないよね。20分の話だったら、20分やるしかないじゃん。で、振り返ってもやっぱ談志師匠きてないから、別の話っていうのを30分ぐらいやって、そしたらようやく、なんか談志師匠が計50分ぐらい経って来たんだって。

でも、来たって知らせあんだけど、全然上がんないんだって。で、一回幕かなんかにして、紅先生がさ、控室戻ってったら、談志師匠がなんかさ、着替えるもしねぇでさ、仁王立ちでずーっとモニター見てたんだって。

で、紅先生が、これなんか私前座とは言えつないだから、なんか談志師匠もね、優しい言葉をかけてくれるのかなと思ったら、談志師匠が言ったセリフが、「お前はクソだな」って言ったんだって(笑)

いや、お前だろうと(笑)いやいや、お前じゃん、遅刻してきて、まだ着替えてないしって。ちょっとディティール分かんないけど、細いところは、俺もふっとテキトーに言ってるから、それは紅先生の動画見て欲しいんだけど。

「はぁ?」と思って。「お前な、前座だかなんだか知らないが、一席『鬼夫婦』かなんかやって、別の噺やったろ?バカ野郎。プロは一席でつなぐんだよ」って。「いや、どのツラ下げてお前言ってんだ」っていうのを紅先生思ったんだって。

でも、それって前座だったら、「あ、すみませんでした」って言って、理不尽なことに耐えるのが前座じゃん。でもさ、紅先生、福岡の博多なんでね、出身が。で、主催の小野栄一もいて「ああ、また談志師匠何か言ってるわ」と思ったと思うけど、止めない。

そしたら、前座の紅先生が「師匠、それはちょっとおかしいんじゃないでしょうか」って。で、談志師匠も「何が?」って。「そもそも、師匠が遅れたのが悪いんじゃないでしょうか?私はつないだから褒められこそすれ…たしかに、噺は一席で繋がなきゃいけないかもしれないですけど、一生懸命、師匠のためにつないだんで、そんなこと言われる筋合いはありません!」って。

まぁ、ぐうの音も出ないよね、正論だから(笑)で、談志師匠がなんか「ふーん」なんて言いながら上がってったんだって。そしたら、小野栄一が「もう帰った方がいい」と(笑)

「彼は普通じゃない、クレイジーだから。高座から下りたら、何が起こるか分からないから、帰りなさい」っていう(笑)「でも、私…」っていう感じで、先生もちょっと涙目っていうかね、理不尽な目に遭ってるのかな。

で、結局その日は紅先生、帰ったらしいのよ。で、その後からかなんか、談志師匠の仕事に、やたらなんか前座として紅先生がどんどん入れられるようになったんだって。つまりだから、なんか気に入ったらしいんだよね。

そこのなんか談志師匠の度量のデカさっていうか。多分、もうあんだけ偉くなっちゃうと、歯向かってくる奴いないんだよ。っていうか、前座でそんなこと言う奴いねぇじゃん(笑)前座だよ、虫けら同然だよ、そんな扱いとしては。今でこそなんか人権と言われてるけど。

だから、事あるごとにさ、後年、談志師匠は「紅は分かってんだけどな」とか、「講釈師ダメだけど、紅はいいんですよ」とか年中言ってた。その談志師匠のちょっと面白さってあるよね。



問わず語りの神田伯山

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