加藤浩次とおぎやはぎの出会い
加藤浩次:だから、矢作と知り合ったのも、元々、そのVIVでバイトしてて、もう一人アルバイトが入ってきて、俺と同い年の奴。そいつは東京出身で、で、そいつと仲良くなって。
山本圭壱:うん。
加藤浩次:で、「実は浩次さ、俺の後輩でお笑いやりたいって奴がいるんだけど、呼んでいい?」って。
山本圭壱:うん。
加藤浩次:そこに来たのが、矢作と小木だったの。
大谷映美里:そうだったんですね。
加藤浩次との出会いで「お笑いが身近に」
小木博明:公園でみんなでサッカーしてたの。カラーコーンをゴールに見立てて。
矢作兼:うん。
小木博明:それでやってて、ある日の休憩中くらいに『昨日、加藤さんと知り合ったよ』みたいな話を。
矢作兼:そんなの全然覚えてない(笑)」
小木博明:その時、とぶくすりに加藤さんが出てて。「とぶくすり知ってる?その加藤さんと飲み屋で会ってさ」ってところから始まったワケ。それでサッカーやってるときにまた「昨日も遊んだんだけどさ…別に話してても、大したことないんだよな」って。
矢作兼:はっはっはっ(笑)
小木博明:それをスゴイ覚えてるの(笑)「大したことないんだよ」って。芸人さんとお話をした初めての人として、矢作がいるじゃん。それなのに矢作がそういう風にいうから、スゴイ身近に感じたの。
矢作兼:分かる。それは覚えてる(笑)
小木博明:「あんまり面白いこと言わないんだよな。だから、大丈夫」って(笑)あの辺から、急にお笑いが身近になったの。
矢作兼:あぁ。でも、本当にそうだよ。
小木博明:起業とかする人って、そんな感じから入っていくのかな。
矢作兼:そうだよ。自分は起業するようなタイプじゃないって思ってるけど、六本木とかで飲んだ時に知り合った人で、同年代でさ。話をしてみてそんな大したことないなって(笑)
小木博明:ふふ(笑)そっからだろうね。
矢作兼:話をしてみても、そんなに自分と能力の差が凄くあるとは思わない、と。自分でもいけるんじゃないかって、そういうきっかけがあるわけだから。
小木博明:逆に、面白い人じゃなくてよかったよね。
矢作兼:ふふ(笑)違うよ。それは誤解だよ。加藤さんは面白かったの。俺のイメージでは、面白いんだけど、ノリというリズムがね。「こういうことを言った時に、こういうことを返してくるんだ」ってことが、俺達とは違う世界の感じなんだなってことよりは、どっちかっていうと俺とか小木とかの感じとのノリに近かったのよ。
加藤浩次にキレられたおぎやはぎ
矢作兼:小木はね、キレられてるからな、最初にな(笑)
小木博明:そう。
矢作兼:最初、ViVでね。
放送作家・鈴木工務店:まだプロになる前ですね。
小木博明:そう、そう。紹介された時じゃなかった?初めて会った時、キレられてんだから。
矢作兼:そう、そう。俺が連れてったんだよね、小木をね。で、まぁ2人でやるって言って。
小木博明:うん。
矢作兼:まだ芸人になる前だから。
小木博明:うん。
矢作兼:「2人でお笑いやろうかなと思ってるんですよ」なんて言ったら、「へぇ」みたいな。「まぁ、いいんじゃない」って。
小木博明:うん。
矢作兼:「お笑いっつったって…漫才とか?コントとか?どういう感じ?」とかって言って。
小木博明:うん。
矢作兼:「そういうなんか別に…コントとか漫才とか、そういうんじゃないんですよね」って(笑)
小木博明:うん(笑)
矢作兼:「目標にしてる、どういう感じの芸人になりたいとか、そういうのあんの?」とか、優しくインタビューしてくれたのよ。
小木博明:うん。
矢作兼:そしたら「いや…誰目指してるとかって別に…自分たちは自分たちだからな」とか、何もまだやってないのに、すげぇ尖った返しを延々…そうね、20~30分やってたんだろうね。
小木博明:うん。
矢作兼:そしたら「テメェら、お笑い辞めちまえ!」って(笑)
小木博明:キレられた。
矢作兼:で、キレられたっていう(笑)
小木博明:キレるから、あの人(笑)
間を取り持つマッコイ斉藤
小木博明:加藤さんが怒鳴ってさ、その様子を友人が止めたっていうのは、「友人」ってマッコイ(斎藤)さんだよね?
矢作兼:多分、そうじゃない?
小木博明:俺らの横にいたのって、マッコイさんで。
矢作兼:マッコイさんじゃない?「まあ、まあ…」って。
小木博明:あの人がね、「まあ、まぁ、しょうがないよ」ってゆるくしてくれたんだよなぁ、その場を。
矢作兼:そんなことがあって。普通、そんなことあると仲が悪くなりそうなもんだけど、その直後からスゲェ遊んでんだよね。ずーっと。なんでかなぁ。
小木博明:うん。
矢作兼:なんでか分からないんだけど。
小木博明:なんでそこで仲良くなるもんなの?2人でいきなり遊んでたでしょ?
矢作兼:最初は、やっぱり3人が多かった。俺とマッコイさんと加藤さんの3人。
小木博明:ああ。
矢作兼:ずっと3人で遊んでた。
小木博明:この後(最初の出会いから)すぐ?
矢作兼:うん。でも、多分、マッコイさんが取り持ってくれたんだよね。
小木博明:マッコイさんって、元々知り合いじゃないでしょ?
矢作兼:違うんだけど、なんか…「浩次と今日も遊ぶけど、来るか?」みたいな感じで言ってくれたんじゃないかな。
小木博明:ああ。
矢作兼:それで行ってたら、そんなことも忘れて徐々に仲良くなってくじゃん。
小木博明:ああ、はいはい。マッコイさんなのか。
矢作兼:そう。
小木博明:優しいからな、あの人。
矢作兼:そうそう。面倒見が良いでしょ。2人とも面倒見が良いんだけど。
小木博明:たしかに。
矢作が小木とコンビを組んだ理由
矢作兼:道すら分からないですけど、芸人さん(加藤浩次)と知り合ったじゃないですか。テレビに出ている。
石橋貴明:うん。
矢作兼:そうすると、なんとなく(芸能界が)近くなったんですよ。目標が明確になって、こうすれば芸人になれるって方法が分かったんです。
石橋貴明:こうすれば良いっていうのがね。
矢作兼:テレビに出てる人と知り合うと、今まで現実味の無かったものが、ちょっと現実味を帯びてくるじゃないですか。やりたいっていう興味もあるから。
石橋貴明:それで会社辞めちゃうの?
矢作兼:はい。小木を誘って。
石橋貴明:なんで小木なの?
矢作兼:小木はね、ものすごいポテンシャルの高さですよね。
石橋貴明:それを23歳で分かってたの?
矢作兼:高校からの付き合いなんで。僕は小木の面白さを知ってますからね。
加藤浩次:お前、小木のことを好きだもんなぁ(笑)
矢作兼:そう。俺はタカさんの100倍小木のことを好きですからね。
石橋貴明:俺は小木、好きじゃねぇもん(笑)
矢作兼:はっはっはっ(笑)それで小木のことを誘って、やろうと思ったんです。
極楽とんぼ単独ライブにおぎやはぎも参加
小沢一敬:VIVに矢作さんとかいたんですか?
加藤浩次:全然来てたよ。
山本圭壱:来てた。
加藤浩次:だから、俺がバイトしてて、矢作が待ってて。
小沢一敬:「浩次君」っていつも言ってましたもんね。
加藤浩次:で、店終わりで…2時に終わったのかな。「その後、飲みに行こうぜ」みたいなこと、しょっちゅうあった。
小沢一敬:だって、極楽とんぼの単独ライブに吉本でもなんでもない、謎の二人のサラリーマンがライブに出てたのよ(笑)
加藤浩次:ふふ(笑)
小沢一敬:それがおぎやはぎなんだから。
大谷映美里:え?そうなんですか。
山本圭壱:そうよ。で、最初も極楽とんぼのライブをやるって、「加藤、ちょっと誰か入れた方がいいな」って。
加藤浩次:うん。
山本圭壱:「二人、入れるわ」って。
小沢一敬:普通、吉本の人入れるじゃん。
山本圭壱:で、「おぎやはぎ」って。「これお前、普段飲んでる奴じゃねぇか」って(笑)
小沢一敬:飲み友達を連れてきちゃって(笑)
山本圭壱:それがおぎやはぎで。
吉本興業ではなく人力舎に所属した理由
加藤浩次:「お前ら、東京だから吉本絶対にやめた方が良いよ」って言ったんです。
石橋貴明:加藤にそこまで世話になったらさ、普通は(加藤浩次の所属する)吉本に行くじゃん。
加藤浩次:はい。でも、「吉本は絶対に辞めた方が良い」って言ったんです」
石橋貴明:はっはっはっ(笑)
加藤浩次:はっきり言ったもんな。「東京の人間だったら、絶対に東京の事務所行け」って。それで、「僕らホリプロにネタ見せ行って来ますわ」って言って。
矢作兼:えぇ。
加藤浩次:それで「ホリプロのネタ見せに行ったら、ボロカスに言われましたわぁ、浩次くん」って言うから、「じゃあ、人力舎のネタ見せ行ってみ」って言って。人力舎に行ったら、べた褒めされたらしいんですよ(笑)同じネタやって。
石橋貴明:へぇ~。
加藤浩次:そしたら人力舎が好きになってな。
矢作兼:そうそう。
加藤浩次:大好きになっちゃって。
矢作兼:居心地が良いから。
小木博明:育ちが良いから。
石橋貴明:褒めて伸びるタイプだからね。
矢作兼:そりゃそうですよ。
加藤浩次:そこからずっと人力舎だよね。
矢作兼:そうそう。
人力舎が「矢作色」に染まる
オークラ:人力舎は当時、アンジャッシュがトップにいて。その中で、児嶋さん派と渡部さん派で、なんか関係性が凄い悪かったんですよね。
佐久間宣行:へぇ。
オークラ:別に、だからといって、なにか本気で悪いっていうわけじゃないんですけど、そこで…
佐久間宣行:物理的に仲が悪いとかじゃなくて、センスを見せ合ったり。
オークラ:なんかね、合わない感じで。
佐久間宣行:ああ。
オークラ:で、絶対に相まみえないっていうわけじゃないんですけど、なんて言ったらいいんだろうな…まぁ、とにかく、よくはなかったんですよ。
佐久間宣行:よくなかった、ギスギスしてたんだ。
オークラ:ギスギスしてた時に、矢作さんが入って。これ、「人力舎の精神革命」って俺は勝手に呼んでるんですけど。
佐久間宣行:矢作さんが、人力舎に入ってきたんだ。しかも、JCAの養成所関係なしに入ってきたんだよね?
オークラ:はい。矢作さんがね、まず誰よりも笑うんですよ。
佐久間宣行:ああ、人のネタに?ああ、その頃は他人のネタで笑わなかった?
オークラ:ネタ見せなんて、絶対に人のネタでは笑わないし。もう絶対に我慢してますから。
佐久間宣行:みんな?
オークラ:みんな我慢してますよ。「誰が笑うか」って感じ。
佐久間宣行:そこに矢作さんが現れたら?
オークラ:矢作さんが「面白いよねぇ、アンジャッシュ」とかって凄い言うわけですよ。「飯塚さんのツッコミ、凄い」とかって言うんですよ。
佐久間宣行:言うんだ、入ってきてすぐ。
オークラ:そうすると、みんな段々、矢作さんのことをドンドン好きになっていくわけですよ(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)
オークラ:いつの間にか気づくと、矢作さんに笑って欲しくて、矢作さんに色んなこと相談するわけですよ。
佐久間宣行:うん(笑)
オークラ:で、矢作さんが「こうした方がいいよ」って言うと、みんな言うことを聞くようになって(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)じゃあ、もう矢作さんは言ってみればポッと出に近いわけでしょ?
オークラ:ポッと出に近いですよ。
佐久間宣行:だって、養成所からやってないし。
オークラ:はい。
佐久間宣行:でも、その矢作さんが人力舎を矢作色に染めていくわけ?
オークラ:そうなんですよ。しかも、ポッと出のくせに、「なんか、極楽とんぼの加藤さんと仲いいぞ」みたいな(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)
オークラ:「何者なんだ?あの人は」みたいな(笑)
佐久間宣行:何者なんだっていう(笑)あと、外車乗ってるし(笑)
オークラ:そう、「何者なんだ」ってなって。
佐久間宣行:うん。
オークラ:で、あの人をあんまり寄せ付けない設楽さんですら、矢作さんのこと大好きになっちゃって(笑)
佐久間宣行:はっはっはっ(笑)
オークラ:そんな矢作さん、だから凄いんですよ、矢作さんは。