2024年6月18日放送のTOKYO FMのラジオ番組『TOKYO SPEAKEASY』にて、『電波少年』の土屋敏男プロデューサーが、ツービートの毒舌漫才は「テレビじゃできない」と言われていたのにも関わらず、放送されたきっかけについて語っていた。
松村邦洋:土屋さんって偉いなぁと思うのは、イケイケ・ドンドンで「やっちゃえよ」っつって。
土屋敏男:うん(笑)
松村邦洋:「いい、いい。やろうよ」って。
土屋敏男:うん。
松村邦洋:「やって、後で反省しようよ」って、なんか見る前に飛ぶから。
土屋敏男:うん。
松村邦洋:あの発想ってのは、90年代やりすぎだなって思ってたけど、あれがあったから良かったし、あのイケイケ・ドンドン攻撃的な土屋さんって、やっぱ凄いと思いましたね。
土屋敏男:うん。
松村邦洋:あれ大事かなぁと思いますね。みんな弱腰ですもん、今。
土屋敏男:そうなんだよね。
松村邦洋:言葉を狩るんですよ。
土屋敏男:そうなんだよね。
松村邦洋:「あれ言っちゃいけない、これ言っちゃいけない」って言ったら、トークのイップスになりますよね。
土屋敏男:うん、うん。
松村邦洋:「あれ行こうよ、これ行こうよ。どんどん行こうよ」っていう、イケイケ・ドンドン。
土屋敏男:いや、その話をさ、俺、この前、高田文夫さんと対談して、喋ったじゃない。
松村邦洋:はい。
土屋敏男:その時に、たけしさんが浅草でやってる頃に、要するにその高田さんもしばらく浅草行ってない。で、浅草最近周りの人がさ、「最近、浅草行ってる?」っつったら、「忙しくて行ってらんないですよ。どうせ、面白い人いないでしょ」って言ったら、「それがいるのよ」って言って、みんなが「ツービートが凄い」と。
松村邦洋:へぇ。
土屋敏男:っていう話をしてた、と。で、見に行ったんだけど、でも必ずその「ツービートが凄い」って話をするんだけど、必ずその後に「でも、テレビには出せないけどね」って言ったっんだって。
松村邦洋:ああ。
土屋敏男:言ってたじゃない、高田さん。その時に、「そうか」と。で、高田さんも行って、聞いて。で、それこそその浅草のあそこのホールに、まだ客が二人しかいない頃にツービート見て、「これはとんでもなく面白いや」と。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:「でも、たしかにテレビでは出せないな」と。要するに「親の首」とかさ、やってたわけじゃない。だから、その後実は一般的にっていうか、たけしさんが普通に喋ることをやってたわけだけど、その頃「これはテレビではできない」と思い込むんだよね。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:ところが、そこにさちょうど風として、タイミングとして、「THE MANZAI」が来るわけだ。
松村邦洋:はい。
土屋敏男:で、THE MANZAIは基本的に、大阪から来るわけだよね。
松村邦洋:はい。
土屋敏男:吉本の人たちが東京に来る。東京に進出するっていうのが、本質的な THE MANZAIのスタートなんだけど。
松村邦洋:はい。
土屋敏男:そこにやっぱ「東京欲しいな」というふうに、横澤さんたちがフジテレビで考えて。で、「東京いねぇか?」っつって、最初はセントルイスとかを仕込むわけだよな。でも、吉本は8割吉本の連中が来るわけだし、「一緒にやりたくない。一緒の収録はイヤだ、客を変えろ」とか、色んなことを言ったらしいんだよ。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:で、その内、セントルイスは出なくなった、困った。じゃあツービートがもう、「こいつら何でもやる」って言ってるから、ツービートを出すだわけだよね。
松村邦洋:ああ。
土屋敏男:それで、生の時にツービートが、いつも浅草でやってたあのネタをぶち込むわけだよ。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:で、他のやすきよとか、みんなそれこそいくくるさんとかみんないる中でさ、ぶっ飛ばすんだよな。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:要するに、「なんだよ、こいつら。すげぇ面白ぇじゃん」っていう話を、ある種、戦略的にやるわけだ。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:「いや、いいからやっちまえ」と。で、実はTHE MANZAIっていうか、漫才ブームの真ん中に突然踊り出るわけ。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:要するにみんなが、「こんなのテレビじゃできないよ」っていうものをやった瞬間に、それはテレビになっちゃうんだよね。
松村邦洋:ああ。
土屋敏男:俺はだから、どっかで…たとえば、松ちゃんは砂漠で遭難しちゃったとかさ(笑)色んなところ行ってアレしたけど、多分事前に会社の中でね、俺が「こういうのやりたいんですけど、どうでしょうか?」って言ったら、絶対ノーだったんだよ。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:でも、俺は相談しないで、要するにやっちゃったわけじゃない。
松村邦洋:はい。
土屋敏男:で、やった瞬間に見た人はさ、「これ面白い。今までのテレビ見たことない」って言うから、それがもうその瞬間に、テレビになるんだよね。
松村邦洋:うん。
土屋敏男:テレビって多分、そういうことなんだと思う。だからみんなが今もね、「これ、テレビじゃできないよね」って思ってることって、やってしまえばその瞬間にもう一回、テレビになるんだよ。